勤務する職場は時流に合わせて建物内は禁煙になっている。喫煙のためには建物の外に出なければならない。喫煙場所は自ずと限られて来て2カ所ほど決めている。その一カ所でタバコを吸っていると隣の建物と木々の間に張り巡らされたいくつものクモの巣に気付くようになった。よく見るとジョロウグモばかりである。それ以来我が家の庭などにもたくさんジョロウグモの巣が架けられているのに気付いた。時々そのクモたちをタバコを吸っている間に観察するようになったが日を増すに従い当然大きくなって行く。しかし中には途中で巣に脱皮した殻を残して姿を消すものもある。ジョロウグモは北海道では見ることがなかった。あの鮮やかな黄色はどう見てもやはり南方系に見える。クモや蛇は決して好きではないし、四国などでは家の中でもずっと大きく15cmくらいの大きなクモが這っていたりすることがあったりして、追い出したり、時には何かで叩き殺したりした。蛇なども子供の頃は見つけるとよく殺した。何か根源的な恐怖感のようなものを感じてすぐに抹殺しなければという思いに駆られていたように思う。長じて来るとその恐怖感がだんだん薄れて来てそうした行動に駆られなくなって来る。ジョロウグモの巣作りを見ていると縦糸に沿って往復運動しながら横糸を架けているのが分かる。時には横糸を張るための足場糸を見かけることもある。本能とは言え見ていて感心させられる。立派な芸術品である。写真雑誌などでも雨滴の付いたクモの巣の見事な写真が出ていることもある。雌に比べれば極端に小さい雄が交尾を狙って雌の張った巣の端で待ち構えていることもある。下手に近づくと雌に食われてしまう。そんな雄の姿を見ているとどうゆう訳か10年ほど前に何度か聴いた槇原敬之の歌うHungry Spiderを思い出したりする。ジョロウグモは女郎蜘蛛と一般に書かれるが本来は上臈蜘蛛と書かれていたそうで上臈という身分の高い女官という意味合いから女郎という遊女に格下げされたようだ。雌が雄を食ってしまうことがあることと関係があるのかないのか。クモの巣が多く見かけられることはそれだけやはり釜石は昆虫が豊富にいる証でもあり、自然の豊かさの指標でもあると言えるのだろう。

産卵前の雌のジョロウグモ 横糸は黄色のようだ