なぜ大人と子どもでは深い会話が難しいのか?

なぜいくら説明しても通じない人がいるのか?

逆にちょっと言うだけで通じる人がいるのか?

これらは人の発達段階に関係する。

このことを知るだけで、会話のストレスは半減すると思う。

 

 

成人発達理論によると、人の発達段階は大きく分けて「機会獲得型」「外交官型」「専門家型」「達成者型」「その他の行動原理」の5つ行動原理が積み重なるようになっている。(ビル・トルバートの説)

 

 

この発達段階が会話のすれ違いの原因になっていることがあると思う。

 

だから突っ込んだ会話をする時は、相手の中にある支配的な行動原理を知る必要がある。

 

■機会獲得型の特徴

  1. 視点や発想が短期的
  2. 事柄に焦点を当てる
  3. 責任転嫁をする
  4. 固定観念が強い
  5. 疑い深い
  6. 勝つことに興味
  7. フィードバックを嫌う

上記だけだと悪口みたいになるので、逆転の発想をすれば次のようになる。

  1. 機会に対してなりふり構わず行動できる
  2. こだわりが少なく、人に従える
  3. あれこれ考えずまっすぐに勝ちを取りに行ける
  4. 人の意見に左右されず直観で行動できる

気づいた人もいるかな。

 

機会獲得型とは、大人になる過程で失われる「子どもっぽさ」である。

 

とは言うものの、アメリカのマネージャークラスを調査では3%の人がこの行動原理が支配的だったそうだ。

 

アメリカでマネージャーと言ったら日本のようになんちゃって管理職は含まれないので、純粋な管理職を対象にしたと思われるけど、それでも機会獲得型が若干数いたってことだ。

 

だから日本の普通のサラリーマン対象に同じ調査をしたらもっと多くなると思われる。

 

肌感覚で言えば1割くらいじゃないかな。


このタイプの人と接する時は、あまり深い話はせずに、ゲームなど勝ち負けのはっきりしていることをやったら良い。

 

■外交官型の特徴

 

機会獲得型のイメージを「子供っぽい」としたけど、外交官型は「おりこうさん」みたいなものかな。

 

特徴は次のとおりだ。

  1. ルーチンワークに満足できる
  2. 規則を守る
  3. 衝突を嫌う
  4. 波風立てず無難を良しとする
  5. 周囲の流れに同調する
  6. メンツが重要
小学校高学年くらいになると、少しづつ外交官型の人が現れ出す。
 
最初は女子に多く、次第に男子にもこの傾向の者が現れ出す。
 
中学生くらいになると外交官型はクラスの中に数名はいるようになるだろう。
 
そして「生徒会」とか「部活のキャプテン」などは、外交官型から選ばれるようになる。
 
機会獲得型中心の集団の中では、外交官型は大人っぽく「しっかり者」に見えるので、まとめ役に推されやすいのだ。
 
でも、本当の大人(専門家型以降の人)から見たら、主張の育っていない外交官型は子どもでしかない。
 
本来外交官型は大人になったら次の段階へと発達すると言われているけど、けっこうな数の人がこの段階のまま青年期を過ごすことになる。
 

アメリカのマネージャークラスでも10%くらいが外交官型とのことだ。

 

これを考えると、日本のサラリーマンだったら2~3割くらいいてもおかしくない。

 

特に中小企業の20代サラリーマンなら、半分くらい外交官型のように見える。

 

また、いつもは専門家型なのに、会議になると外交官型になる人も多くいる。


波風立てないように無難を良しとする人たちだ。


そう、行動原理は、ひとりの人に一つってわけじゃない。


冒頭に示したとおり「重なり」なので、時と場合に応じて昔の行動原理が顔を覗かせることもあるんだよね。


■専門家型


高校生くらいまでは機会獲得型と外交官型で大半が占められる。

 

でも、20歳に近づくとだんだん批判精神を持つ専門家型が現れるようになる。

専門家型の特徴は次のとおりだ。

  1. 問題解決に興味
  2. 原因追求
  3. 批判的
  4. 完璧主義
  5. 効果より効率
  6. 権威者重視
  7. 自分のスキル中心に物事を判断する
 
アメリカのマネージャーの45%は、この行動原理が支配的らしい。
 
日本のサラリーマンの比率もそんなところだろう。

コナン君なんかは典型的な専門家型じゃないかな。

若いうちは「生意気」、歳を取ると「頑固」と言われるのが、このタイプだろう。
 
ちなみに専門家型はその名のとおり「専門家」に多い。
 
技術者とか、士業の人たちである。
 
このタイプの人と接する時は、明確な役割を与えて任せると良い。


■達成者型

 

人間関係やビジネスの世界でもまれた人は、専門家型を卒業し、達成者型になることがある。

 

達成者型の特徴は次のとおりだ。

  1. 長期的な目標を持つ
  2. フィードバックを歓迎する
  3. 手先になるのを嫌い、主唱者になりたがる
  4. 複雑性やシステムを大切にする
  5. 論理体系に基づいた日々の実質的な改善を好む

部長以上の成熟したマネジメントができる人って感じだね。

 

例えば、部下同士の創造的な関係を奨励したり、上司との相互作用を巻き起こすなどもできる人だ。

 

アメリカのマネージャーのうち35%がこの行動原理が支配的である。

 

日本の部長以上も、同じくらいの比率だと思う。


■それ以降

 

達成者型はとりあえず発達の最終形態と言ってもいいけど、ビル・トルバートはその先にも3段階ほどあると言っている。

 

再定義型、変容者型、アルケミスト型の3つだ。

 

これについてはここでは詳しく書かない。

 

書かないけどイメージだけ伝えれば、自分の枠組みに執着せず、新しい枠組みを作ろうとする人である。


例えばビートたけしとかタモリかな。


自分の思い込みにとらわれずに、色んな角度から物事を見ることができ、「清濁併せ呑む」「大局観」と言われる人たちだ。

 

■発達段階は優劣ではない。

 

ここまで発達について書いてきたけど「発達=優劣ではない」ってところを注意してもらいたい。

 

ここまでの文章を読んでいると、まるで「右に行くほど偉い」という感じがしてくるけど、決してそんなことはない。

実は、右に行けば行くほど、原始的な適応力が削がれる面がある。

言うならば「頭でっかち」になる。

例えば、機会獲得型と達成者型の2人が無人島に流れ着いたとして、どちらが生き延びる可能性が高いか?を考えてもらいたい。

おそらく機会獲得型の方が生き延びる可能性が高いと思う。

また、機会獲得型と達成者型、どっちがビジネスで成功しそうか考えてもらいたい。

一見、達成者型のように感じるけど、よくよく考えるとそうとも言えない。

機会獲得型で成功している人もいれば、達成者型で失敗する人もいる。

 

たぶん確率はそんなに変わらないと思う。

もちろん達成者型なら、それより左の3つの行動原理を持っているので、彼ら3社の気持ちが分かるという優位性はある。

でも、だからと言って彼らのように行動できるわけじゃない。

思慮深さとか、論理的な正しさとか、流儀とか、そんなものが邪魔をして動きがのろくなる。

よく「頭でっかちにならずに、子どもの頃のように直観的に行動せよ」なんて言われるけど、この言葉は発達度の高い人への警鐘の意味もあると思う。

 

要するに、発達度は人の個性の一つでしかなく、それぞれの特徴を生かすことが大切ってことだ。

 

大切なことは、発達度の高い人は、機会獲得型や外交官型の人の言い分を彼らの視点に立って聞くことである。

 

それをしないと会話自体成り立たないことがあるから注意が必要だ。