『ゾルゲ・スパイを愛した女たち』と、中丸シオンさん | 一松亭のブログ

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2月23日、新宿K’Sシネマにてロシア、ウクライナ、中国合作の映画『ゾルゲ・スパイを愛した女たち』が公開されます。
20世紀最大のスパイと言われたリヒャルト・ゾルゲの日本での諜報活動から死まで、そして彼とともに生きた女性たちを描いた映画です。(ロシア国内ではテレビドラマにもなっていました キャストは同じです)



ゾルゲは日本で活動しており、早くにドイツのソ連侵攻を察知しソ連に報告しながら猜疑心の強いスターリンに無視され、結果ソ連は初戦で大敗を喫します。その後、日本は対ソ開戦せず南進するとの情報をソ連に報告した結果、ソ連は満州国境のシベリア師団をモスクワ防衛に振り向けることにより危機を脱することができます。
その後ゾルゲの諜報活動は特高の知るところとなり逮捕、協力者の尾崎秀美とともに処刑されます。
このおり日本はソ連に捕虜交換を申し出ましたが、ソ連に「ゾルゲなど知らない」と見捨てられた結果でした。スターリン体制の酷さを感じます。救国の英雄のはずなのですが…。でも今はソ連邦英雄の称号が贈られています。
日本では麻布に家があり、処刑後は雑司ヶ谷霊園で無縁仏となっていましたが、戦後になり、逮捕前一緒に住んでいた石井花子氏の奔走により今墓地は多磨霊園にあります。墓には「妻石井花子」と彫られているそうです。
実はこの石井花子氏を劇中で演じているのが中丸シオンさんです。

昨年は多くの方の訃報に接し悲しい思いをしましたが、その中の一人が中丸シオンさんでした。(享年38歳)
お父様は俳優の中丸新将さんです。本当にこれからという時に残念です。心よりご冥福をお祈りします。
本作で大崎少佐を演じている山本修夢さんとともにロシアで活躍する貴重な人材でした。


中丸シオンさんと山本修夢さんは、DVDになっているソ連の満州侵攻を題材としたロシア映画「ラストサマーウォーズ」(原題:Орден オルデン⁼勲章でしょうね)にも出演されていました。
「ラストサマーウォーズ」では山本さんが関東軍将校、中丸さんがその妻の役でした。中丸さんの瞳の光、少し低めの声が魅力的で、今となっては貴重な作品です。安売りのDVDを探すと見つけられると思います。

山本さんは「ソローキンの見た桜」では「ダー(Дар)」と返答をするロシア兵との通訳をする兵士の訳でした。「ソローキンの見た桜」の上映会の会場で中丸さんをお見かけしました。


中丸さんは写真集も出していますが、もう書店では見なくなりましたね。
まずは『ゾルゲ・スパイを愛した女たち』を早く見たいものです。