『82年生まれ、キム・ジヨン』 だれも気付づいてくれない生きづらさ | 一松亭のブログ

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労働問題、社会問題、心に残る映画について書いています。

『82年生まれ、キム・ジヨン』を見てきました。チョ・ナムジュによるベストセラー小説の映画化ですが、原作への予備知識はほとんどなく、白紙の状態で見ることができました。1982年の韓国に生まれた、ごく平凡な女性の少女時代から30代前半に至るまでの「ありふれた人生」を通じて、時代背景を交えながら韓国社会に根深く組み込まれた性差別を描いた映画なのですが、この映画の様々な場面は実は私たちの日常にあるようなシーンでもあり、私たち一人一人に多くを問いかけてくるでしょう。

 

夫婦、家族、企業、そして社会の中での一つ一つの不平等、それがさも当然のような意識で漠然と生きている私たち、ある人にばかり過剰な役割を押し付けていることに気が付かないまま過ぎていく日常、観客は女性がずっと多かったですが、男性がより見るべきでしょう。途中に必ずいくつかは、はっと胸に刺さることがあるでしょう。主人公はこれから立ち直る道が待っていることでしょうが、世の中の多くの人は行き辛さを抱えて生きていくか、辛い選択をするか、最悪の場合…。

 

今日本でも若い女性の自殺が増えています。男性は職場など家の外での人間関係で傷つくことが多いですが、女性は家族やパートナー、友達といった身近な人たちとの関係で追い詰められるようです。今年は「えっ?あの人が?」という悲しいニュースに何度も出会いましたが社会自体があり方を見つめなおす時なのでしょう。