二九

しんしんと肺碧きまで海の旅


【語句】碧:青緑色

 

【季語】 なし<無季>

     (ただし、海の旅という言葉などから、夏の印象あり)
     (※ 海は、夏の季語ではない)

 

 

【読み】 しんしんと はいあおきまで うみのたび


【意味】 しんしんと、肺が海の碧い色に染まるほど、海の旅に浸る…

 


【作者】 
篠原鳳作(しのはらほうさく) 明治~昭和期の俳人


【生没年】

 一九○六年一月七日~一九三六年九月十一日

 (明治三九年~昭和十一年)


【略歴】

  鹿児島市出身。東京帝大法学部卒。病弱のため、帰郷して句作。沖縄県宮古市や鹿児島市の中学で教えた。俳句には、花鳥諷詠ではなく、詩の心が大切として、無季俳句を推進した。


【他の句】

 満天の星に旅ゆくマストあり ◎
 にぎりしめにぎりしめし掌に何もなき ○
 一塊の光線となりて働けり ◇
 蟻よバラを登りつめても陽が遠い