征服者たちは、彼らじしんが歴史のうえで、もっともおおきなジェノサイドを経験してきたひとびとであった。シオニストたちはこのジェノサイドを絶対悪としていた。しかし、歴史上のもっともおおきなジェノサイドを絶対悪につくりかえることは、宗教的、神秘主義的ヴィジョンであって、歴史的なヴィジョンではない。それは悪を押しとどめることではない。反対に、それは悪を増殖させ、悪を他の無垢なひとびとに降りかからせることであり、ユダヤ人が被ったこと(排斥、ゲットーへの閉じ込め、民としての消滅)の一部を他のひとびとに被らせるという償いを要求するのだ。ジェノサイドよりも「冷酷」なもろもろの手法で、同様の結果にいきつくことがのぞまれているのだ。
内容紹介(「BOOK」データベースより)
ドゥルーズのテーマ別アンソロジー。2は「欲望と快楽」はじめフーコーをめぐる重要テクスト、シャトレに捧げた名作『ペリクレスとヴェルディ』、そして情況/権力論、芸術・文学・映画などをめぐるテクストを集成。来たるべき政治/芸術にむけた永遠に新しいドゥルーズ哲学のエッセンス。
目次(「BOOK」データベースより)
フーコー(知識人と権力/欲望と快楽 ほか)/シャトレ(ペリクレスとヴェルディーフランソワ・シャトレの哲学)/情況論・権力論(集団の三つの問題/『牧神たちの五月後』への序文 ほか)/作品論・映画論(エレーヌ・シクスーあるいはストロボスコープのエクリチュール/冷たいものと熱いもの ほか)
ドゥルーズがこの文章の前後で、オラドゥールや「インディアン」=ネイティヴ・アメリカンの例を出していることは極めて示唆的である。
G.ドゥルーズとI.ラビンの30回目の命日に。