J=L.ゴダール監督の『イメージの本』(2018)を観た。
何ひとつ 望み通りにならなくても、希望は生き続ける---。88歳を迎えてなお、世界の最先端でエネルギッシュに創作活動 に取り組むジャン=リュック・ゴダールが新たに撮り下ろした子どもたちや美しい海辺などの映像に、様々な<絵画>、<映画> 、<文章>、<音楽>を巧みにコラージュし、この世界が向かおうとする未来を指し示す 5 章からなる物語。
流れてくるのは白昼夢のようなイメージの奔流である。
哲学、文学、社会思想、映画、絵画、音楽など、ありとあらゆるイメージが駆り出され、ゴダールの語り(ナラティヴ)を作り上げている。
その根底にあるのは、暴力と戦争と革命と平和に対する、彼の思いである。
ゴダールは露によるウクライナ侵攻が始まった2022年、自ら安楽死を選んだ。
その心中は測りかねるが、新たな戦火に対する彼なりの異議申し立てだったのかも知れない。