さくら散ることだけがすべてではないのだと墓地の前の桜は青空の便箋上に告げている。咲き誇ることは勝ち誇ることではない。散ることもまた世の中のすべてではない。生きること、死ぬこと。どちらも梵我一如だろう。悲しみもまた喜びに翻る時はある。痛み、苦しみ、妬み、嫉み・・・・・・薄紙一枚を翻せば群青の海はすぐそこに見える。 夏の形象Amazon(アマゾン)