コルタサルの短編『遥かな女』読了。

 

 

シュルレアリスムのオートマティスム(自動筆記)を応用したような作品。

描かれているのはある女性の一つの運命とも言えるような挿話だが、

時間や記憶、想念といったものがひどく混濁していて、

特に記憶と想念はほとんど見分けがつかなくなっている。

彼女が現在オデオン座にいるのか、それともブダペストにいるのかは、

最後の「作者」による解説が入るまでほとんどわからない。

コルタサルの、まさに魔術的な筆致の無せる業だろう。