色が氾濫してゆくところに鈍い紫の点。

体の他の部分はきれいに洗い流される

真珠の色。

 

岩の縦穴の中で

海は憑かれたように吸いつづける

一つの空洞 海全体の軸。

 

蠅の大きさ

暗い運命(さだめ)の汚点(しみ)が

壁を這い降りる。

 

心臓が閉じる

すうっと海が退いてゆく

シーツが鏡に掛けられる。