ホン・サンス監督の『イントロダクション』を観た。

 

 

 

第71回ベルリン国際映画祭銀熊賞(脚本賞)に輝いた、名匠ホン・サンス監督の長編第25作。将来の進路も定まらず、まだ何者にもなれないナイーブな青年ヨンホ。韓国とベルリンを舞台に、折り合いの悪い父、夢を追って海外に旅立ってしまった恋人ジュウォン、息子の進路が気がかりな母との再会と三つの“抱擁”を通して、一人の若者の人生が紐解かれていく。誰もが経験する青年期の迷いや喪失、孤独を抱え、恋に夢に破れながらも、やがて心安らぐ温もりに満ちた瞬間が訪れる…。

 

モノクロが美しい。

最近のモノクロ映画が昔の白黒映画と違って見えるのは、

やはりその画面の稠密さゆえだろう。

この辺は技術の勝利と言えるが、

その技術をどう使うのか決めるのはやはり人間である。

ともすれば平坦な印象を与えかねないこの技術を巧みに使いこなしているのは、

ホン・サンス監督の技量というほかない。

ストーリーにも清々しい美しさがある。

久しぶりに、見てよかったと思える映画だった。