「志賀直哉に文学の問題はない(坂口 安吾)」
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安吾が言うとおり、私小説が告解の代用だとすれば、
それはまさしく天皇制国家への告解だったのではないか。
事実、志賀直哉はじめ武者小路実篤らの白樺派(大正教養派)は
昭和10年代から戦時体制に積極的に協力していくことになる。
志賀直哉は「シンガポール陥落」を発表し、
武者小路実篤は日本文学報国会劇文学部会長を務めるなどしている。
(少なくとも日本の)私小説はその思考様式からして、
戦争との親和性を内在していたのではないだろうか。
田中祐介「思考様式としての大正教養主義 ――唐木順三による阿部次郎批判の再検討を通じて――」