猫は謡う。
木々の囁きを
道々の谺を
重く、小さな谺。

行方知れず。
明日もなく
路上に寝そべるは
休息のため。
ただ人いきれの
安息のためにだけ。

猫は見つめる。
あれが
果たして敵かどうかを。
夢見る中で、
忍び寄る影
夢魔

猫、猫、猫。
人いきれの中で、
窒息し、
息絶えるもの。
無残にも
引き裂かれ、
路上に寝そべるもの。