カルロ・リッツアーニ監督のドキュメンタリー映画
『ルキノ・ヴィスコンティの世界』を観た。
イタリア映画界の至宝:ルキノ・ヴィスコンティ監督は如何にして誕生したのか彼のルーツと幾多の名作を辿りながらその真実に迫る珠玉のドキュメンタリー。ヴィスコンティ作品に出演した、マルチェロ・マストロヤンニ、バート・ランカスター、アラン・ドロン等、伝説の俳優陣と本人へのインタビューは必見!
ヴィスコンティ作品は好きで割と見ている方だと思うが、
本作を見ると、
彼の一貫したテーマが「(制度としての)家族」だったことが分かる。
同性愛者だった彼にとって、自らの「家族」を持つことは、
時代的にも望むべくもなかったであろうが、
ともかく「赤い侯爵」とも言われた彼がそのような社会を願ったであろうことは
想像に難くない。
「家族」は今、新たな定義づけを求められている。
従来の「パパ-ママ-ぼく」という平均的な核家族のモデルだけでなく、
同性の両親や相互に血のつながりのない疑似家族的なものまでをも含めた
より広い意味での定義づけを求められていると思う。
もちろん、どのような場合であれ、
「家族」というものは個々人にとっては両義的なものではあろう。
とはいえそのような「家族」の拡大が、
21世紀の現在では求められているのも事実なのだ。
政治の変容は、そのような社会の変容によってしか、
生まれないだろう。