先ほど、第二詩集『水底から』のnote版を発売いたしました。

 

水底から|藤盛槐|note

 

『水底から』note版に寄せて

 

 早いもので、この詩集を出してから今年で12年、つまり、干支が一回りしたわけだが、それだけの時間が経ってしまった。
 もともとこの詩集は2011年3月11日に東日本大震災があり、当時被災地に住んでゐた身として、また日がな詩のようなものを無為に書き散らしていた身として、何かこの地に貢献したいなという強烈な、そして焦りにも似た情動(パッション=受苦)から生み出されたものであった。後半の方の作品は特にそういった感情が直接的に叩きつけられているような感じで、読者もやや当惑、披露困憊されるかもしれない。でも、これが当時被災者であった僕の裸のままの精神的姿であった、ということをどうかご理解していただきたいと思う。
 文庫版から書き起こすにあたって、明らかな誤字脱字は訂正、ルビは所によって省略した個所もあるが、基本的には文庫版のままの状態を復元しようと努めた。部分部分のことば遣いについて、今ではやや違った考えの所もあるが、文庫版発行時の考えを尊重し、そのままとした。
 また、本書の売上の2割を、今はもう忘れられがちな東日本大震災の被災者支援のために寄付をすることとしている。現在、被災地は様々な生活環境も整い、一見、完全に復興したようにも見える。
 が、それでもやはり、震災から13年が経とうとしている今でもまだ、「心の復興」は道半ばだ。あの時に負った様々なものが、被災者の生活の隅々に、影響せざるを得ないのだ。そうした人たちのための寄付、ということを、どうかご理解いただきたい。
 年が明け、元日の夕方に、今年は能登半島で大きな震災があった。東日本大震災の時を彷彿とさせるような出来事が相次いで、僕も12~3年前のことを思い出さざるを得なかった。能登半島で被災した方々のためにも、近いうちに何かアクションをしたいと考えている。それはまた、追ってお伝えしたい。
                       2024年1月
                             藤盛 槐

 

 

売上の2割を、東日本大震災の被災者支援団体に寄付しています。

ぜひご購読お願いいたします。