姫岡とし子著『ローザ・ルクセンブルク 戦い抜いたドイツの革命家』読了。
ドイツの革命家ローザ・ルクセンブルクはポーランドで生まれてスイスに亡命し、偽装結婚によってドイツ国籍をえて、ヨーロッパ労働運動の中心地ドイツで最左派の理論家として活動した。ドイツ革命時の1919年1月に虐殺されるまで、彼女は国際プロレタリア革命の達成のために妥協を排し孤立を恐れず闘い抜いた。本書は、激動する国際情勢のなかで彼女が打ち立てた革命論とその実現に向けた行動、ドイツ社会民主党の右傾化との対決過程を描きだす。
1991年のソ連の崩壊後、「マルクス主義は終った」と言われている。
確かにソ連型の「マルクス主義」=ボリシェヴィズムは終ったのだろう。
それは歴史的にも必然的なことだったと思う。
一方で、マルクス主義そのものが終わったとは僕は全然思っていない。
というのも、ボルシェヴィズム型の「マルクス主義」というのはそもそも、
ロシア革命が起きるまではマルクス主義全体の流れからしても
傍流に過ぎない物であって、
いくら武力でもって政権を掌握したとはいえ、
それをマルクス主義全体の代表格と見做すのはやはり無理があるだろうと
思うからだ。
ソ連崩壊後の今日でも、非ボリシェヴィズム型のマルクス主義には、
多くの可能性が秘められていると僕は思う。
その筆頭格に挙げられるのが、ローザ・ルクセンブルクの思想だろう。
マルクスの理論に随いながら、
その重要な矛盾を建設的な形で指摘して見せた彼女の理論が、
H.アーレントや森嶋道夫といった
非マルクス主義の政治哲学者や経済学者によっても高く評価されているのが、
その証拠だろう。
本書はそのローザの思想と生涯を紹介した評伝である。
彼女の思想や活動が、どういったものを淵源として生まれたものかが、
よくわかる本だと思う。
マルクス主義の歴史をよく調べもしないまま、
「マルクス主義は終った」などと嘯いている人たちこそ、
本書を舐めるように読んで勉強すべきだろう。