悪魔(第1詩集『大洪水』より)そして繰り返し聞こえる沈黙の声に掻き鳴らされる晩鐘の音色闇の中に見える悪魔の手招きがひたひたと私に近づいている。彼は遣って来てはそっと後ろから私を目隠しする。そして言うのだ。「今のは私じゃないよ」友人たちが揃って私を追ってくる。私はいいや私の姿をした悪魔は刹那に逃げ去り闇の中に姿を消す。そして 沈黙の声晩鐘が掻き鳴らされまた別の友人に向かって私は手招きするのだ。闇の中からそっと・・・大洪水|藤盛槐|note藤盛槐第一詩集(2009年初出、2012年増補文庫化)。売上一冊毎に100円を被災者支援団体に寄付します。note.com