きらきらと散らばった破片たちに映る
〈わたし〉の断片
それらを掻き集めて繋ぎ会わせても
〈わたし〉は帰っては来ないのだと
理解はしているのに
人は 屡々
同じ間違いを犯してしまう。
眼下に
ちらちらと燃え盛るのは
煉獄の炎だ
人はまだ、地獄にすら堕ちることができない
裁きが
至るところで行われている。
手前勝手な 急拵えの法による──
燃え盛る 手に目に口に鼻に
母親に抱かれた赤ん坊が丸焼けにされる
頭が顔が意味が存在が
燃やされるのは いつも
あなただ あなただ あなただ
焼け残った歯だけが辺りには散らばる
静寂のように 静寂が、焼き尽くすように。



水晶の夜 Kristallnacht|藤盛槐 @enju1948 #note https://note.com/1948_/n/n54562cf015a5