世界が変わり果ててしまったとき
あなたの声は室内楽になる
子どもの声も 老いた声も
女の声も 男の声も
チェロ ヴィオラ バイオリン
フルート オーボエ クラリネット
そしてピアノの音色が
君たちのなかに響く
世界というこの部屋は
酷く狭く暗い
それでも蝋燭の仄明かりは
僕たちの顔を照らし出すのに充分だろう
あなたの鼓動を明らかにするだろう
言い知れぬ不安が
君たちの胸には去来する
影が あなたたちを魅了する
死の舞踏でもって
けれどもういい加減
壁を見つめるだけの暮らしには
おさらぱをするときだろう
君の瞳には蝋燭の火が映っている
あなたの耳には室内楽が聞こえる
それ以外 何が必要だというのか
影たちは相変わらず
死の舞踏に没頭し続けるだろう
僕たちの周りで
それでも さあ 椅子に座って
あなたの声を聞せてください
あなたの声を聞せてください
壁にぼんやりと浮かんだ
ヴィクトリア朝の野ばらたちのためにも
室内楽 Chamber music|藤盛槐 @enju1948 #note https://note.com/1948_/n/n7701d4f95e7a