知らない町のどこかで
あなたはふと息をした
ゆっくりと暮れていく空は
明日へと続いて
烏たちも塒へ帰る
でも
あなたには塒がない
帰るべき塒がない
黒ずみ影になっていくアスファルト
次第に消えていく
あなたの顔
わからない?
あなたには塒がない
帰るべき塒がない
もうあなたは
この世のものではないのだから
静かに風に揺れる萱草たち
帰るべき塒がないあなたに
手を振っているよう
でもあなたには塒がない
帰るべき塒がない
もうどんな声も聞こえはしない
あなたには塒がない
帰るべき塒がない
ただ
風のように去るだけ