風が吹くと
荒れ地の砂は
まるで
時を待っていたかのように
踊りだす
白濁した空
水平線は
ほとんど空との境目をなくして
踊る砂たちの書き割と化す
ただ温い空気だけが
辺りには漂う
空に吸い込まれる海
海に呑み込まれる空
砂はその中を
自在に舞う
まるで自らの他には
存在するものなどなかったかのように
砂は ああ どこへ行くのだろう?
遮るものもなく
道上には ただ
痩せ細った犬の遺骸だけが遺る