ポーランド映画の巨匠A.ワイダ監督が亡くなったらしい。
AFP通信より
http://www.afpbb.com/articles/-/3103795
ワイダ監督と言えば、
1980年代からポーランド民主化の象徴的存在とされた
レフ・ワレサ自主管理労組「連帯」元議長の盟友としても知られ、
映画『鉄の男』などで文化面からも民主化運動を支えた人物として知られているが、
一方でポーランド軍将校だった父親を当時のソヴィエトが起こした
「カティンの森」事件によって虐殺された遺族でもあり、
ポーランド現代史の生き証人とも言える人物だった。
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2007年にはその「カティンの森」事件を描いた映画『カティンの森』を発表、
幼少時代の自身や父母の姿を重ね合わせたような
ポーランド軍将校の一家の姿を通して事件の重さ、悲惨さを描いていた。
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その後、ロシアのプーチン首相も参加した追悼式典に参加している
(余談だがロシア政府は事件がスターリンの指令で当時のソヴィエト軍によって
行われたことは認めつつも、現在も公式には謝罪を行っていない。
そういう意味では南京事件や慰安婦問題など戦時中日本が関わった問題とも似て、
大戦がもたらした負の遺産の多大さを感じさせる)。
ワイダ監督の遺作は
奇しくも盟友ワレサ元議長を描いた伝記的作品『ワレサ 連帯の男』になったようだが、
日本も含め
世界中でこれだけ「民主主義」が形骸化し危機に陥っていることを考えあわせれば、
これこそが長く映画の形で人々と政治の関係を考えてきたワイダ監督の
遺言であったとも言えるかもしれないと思う。
A.ワイダ監督のご冥福を祈る。