「Colorful」を見た後、
キム・ギドク監督の新作映画『メビウス』を観に行った。

メビウス
http://moebius-movie.jp/

前作『嘆きのピエタ』で
人間の善悪、罪と罰を劇的に描き切って見せたギドク監督が
今作の主題としたのは、
ある意味で監督がデビュー時から扱ってきたとも言える
「性」、「家族」、「人間」である。
3人の「メビウスの環」のように絡み合った家族が、
一つの事件を発端にした異常なシチュエーションの中で
自らの「性」に翻弄される姿を、
一種のブラック・コメディー的風刺的に描いていて、
予告編なんかで見るとやたらシリアスな印象だったり
エロティックな印象が強調されてるようにも思うが、
僕は観ながら随所で笑わせてもらった。

「性」は自分が自分として存在するためには必要なものだ。
また、生物学的にも種は「性」を媒介として子孫を増やしていく。
一方で、ヒトのそれが他の動物と大きく違うのは、
発情期が決まっていないということだろう。
要するにヒトは常に外的・内的要因によって「性」が刺激され、
興奮しうる状態にあるとも言える。

『メビウス』が描くのは、
まさしくそうした「性」に振り回される「人間」の姿、
悲喜劇に他ならない。