昨日に引き続き海象ノワール。
今日は『夢みるように眠りたい』を観てきた。



昭和30年代頃の東京を舞台に、
古き良き探偵映画の趣で、
活動写真とも呼ばれた映画初期の良質の部分を
再現したかのような佳品。
とはいえ、内容的には日本の映画が辿って来た歴史を
髣髴させるようなところがあって、
単純な娯楽作品とは呼べないと思う。

毎日ゆで卵ばかり食べている
貧乏探偵事務所の主・魚塚のもとに、
ある日、大女優の月島桜からの依頼が舞い込む。
娘の桔梗が誘拐されたので探し出してほしいと言うのだが、
手がかりとなるのは身代金要求の電話に残された謎の
「将軍塔の見える花の中星の舞う」という言葉だけ。
謎の言葉に悩まされる魚塚だったが、
助手の小林が持っていた仁丹の袋からヒントを得て、
なんとかその謎を解き明かす。
が、言葉の示す場所にあったのは、
新たな謎を告げる録音テープと回り続ける地球ゴマだけだった。

制作には歌手のあがた森魚さんも関わっていて、
出演もしている。
林監督同様、あがたさんも足穂の熱心な読者だそうだが、
この作品にはそうしたあがたさんの世界観も
色濃く反映されているような気がした。