『海炭市叙景』という映画を見た。
- 海炭市叙景 [DVD]/ビデオメーカー
- ¥3,990
- Amazon.co.jp
原作は、村上春樹と並び称されながら、
’90年に41歳で自死を遂げた「不遇の作家」佐藤泰志。
僕はつい最近までこの作家のことを知らなかったが、
最近というかここ数年、再評価されてるらしい。
『海炭市叙景』はその佐藤の、
遺著となった連作短編集だ。
人口30万ほどの、海に囲まれた架空の地方都市「海炭市」。
炭鉱と造船で成り立っていたこの町も、
しかし、「石炭から石油へ」という国のエネルギー政策の転換と、
折からの不況による造船業の不振から徐々に衰退していく。
地方の疲弊と閉塞感、
そして、そこに住む人々の絶望と内的葛藤を
的確に描き出していたと思う。
「海炭市」と似たような地方都市は、
恐らく現在、日本のどこに行ってもあるんじゃないだろうか。
地方が徐々に切り捨てられていったこの10年余り、
僕の地元も、同じように衰退の一途を辿っているように見える。
東京や名古屋、大阪などの大都市では、
「アベノミクス」とやらの効果か随分と羽振りが良いようだが、
地方はいまだ「出口さえ見えない」といったところが
大半じゃないかと思う。
中央ではまもなく東京都知事選がある。
東京は一個の自治体であると同時に、
こうした日本というシステムの最上段に君臨するところでもある。
その象徴が、原発を巡る電力問題だろう。
また先日は新聞の記事で、
「都外施設」という問題があることも知った。
朝日新聞より
都民でもない僕が、
誰を支持するとか軽軽に言うことは差し控えたいが、
東京の選択に左右されかねない地方で生活する者の一人として、
都民の方々にはぜひ、こうした問題について真剣に考え、
投票に行って自分の意志を表明してほしいと願うばかりである。