わずか30歳の女性が

世界の常識を覆すような発見をしたことで、

TVもネットも今日は一日持ち切りだ。


http://digital.asahi.com/articles/ASG1Z0PGCG1YPLBJ00W.html?iref=comkiji_redirect


たしかに、ES細胞、iPS細胞に続く

第三の万能細胞となりうるかもしれないという、

STAP細胞を発見した理化研・小保方さんの研究はすごいと思う。

これが再生医療に実用化されれば、

ES細胞やiPS細胞より格段にコストも時間も短縮され、

患者さんたちに、より安価な値段で供給できるだろう。

同世代(僕の方が少し年は上だが)としても、

非常に誇らしい気もする。


だが、当の小保方さんは、

記者に再生医療への応用の可能性を聴かれ冷静に、


今回はマウスの赤ちゃんの細胞を使った報告なので、条件が限られている。iPS細胞との関連を議論するのは早すぎる段階だ。数十年後、100年後の人類への貢献を考えて研究を進めたい


と答えた。

僕はここに、科学者として決して失ってはいけない、

そして、科学的知識を必須教養として持たなければ

現実の世界では生きてはいけない現代人にも共通して

必要とされる、

「科学者の姿勢」というものを見たような気がした。


科学者は、決して謙虚さを失ってはいけない。

そして、近視眼的ではなく、

「数十年後、100年後の人類への貢献を考えて」

行動しなければいけない。

これは今の日本社会が最も失いかけている

姿勢でもあると思う。


物事は根本的には、科学的な現象によってしか動かない。

人間がいかに言葉で言い繕ったところで、

巨大な地震や津波のように、

自然=科学的な現象は根こそぎすべてを変えてしまう。

そこでは人間は明らかに無力であらざるを得ない。


3・11で、日本人はこのことを悟るはずだった。

しかし現実には揺れる大地の上に原発が再稼働されようとし、

ジュゴンが泳ぎ固有の生態が息づいている海は

自然より遥かに根拠の薄い、確率的な理由で、

無惨にも埋め立てられようとしている。


小保方さんの上述のような姿勢は、

このような状況下にあって、

「日本にもまだ(それも僕と同世代で!)、マトモな人がいたんだ!」

という、素朴な嬉しい気持ちを、僕に呼び起こさせてくれた。

そのことに、僕は感謝の念を表したい。


そして、素晴らしい発見、おめでとうございます。

これを機に、ますます、そして謙虚なままで、

研究に没頭してください。

数十年後、100年後の人類のために。