※グロい表現があるので閲覧注意してください。



朝起きると

おふくろが親父の肝臓を啄んでいた。

「おまえも食べな。精力付くよぉ」

そう言っておふくろは

逆さ箸で親父の肝臓を一切れ摘まみ、

おれの皿の上へ置いた。

「いらねえよ、そんなもん」

「どうして?食べりゃあいいのに」

そう言っておふくろは

今度は親父の心臓に醤油を掛ける。

「止めとけよ、そんなもん喰うの」

おれが言うとおふくろは

「なんでぇ?ハツだって焼いて食べるでしょうがぁ?」

いたたまれなくなっておれは

首も内臓もなくなって見るも無惨になった親父の遺骸に

手を合わせた。

背後ではようやく起き出してきた兄貴が

親父の心臓のかけらを旨そうに頬張っている。

まだ朝だというのに、

ビールなんか飲みながら。

仕方がない。

これが戦争なのだから。

おれは振り返って

皿の上の親父の肝臓を一口噛んだ。