独裁者は、坐つてゐる椅子が
電気椅子だとは、気がつかない。
だが、もっと危いことは、
演じてゐる身振り、手振りが、
大向うの喝采を呼ばなくなれば
竿の先からころがり落ちる事も。
のん気にしてゐていいのですか。
どこかの廻し者か、気ちがひか、
気まぐれ者が、釦(ボタン)を一つ押せば。
スラ以来のディクタトールに献げる。
- 金子光晴詩集 (岩波文庫)/岩波書店
- ¥987
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独裁者は、坐つてゐる椅子が
電気椅子だとは、気がつかない。
だが、もっと危いことは、
演じてゐる身振り、手振りが、
大向うの喝采を呼ばなくなれば
竿の先からころがり落ちる事も。
のん気にしてゐていいのですか。
どこかの廻し者か、気ちがひか、
気まぐれ者が、釦(ボタン)を一つ押せば。
スラ以来のディクタトールに献げる。