えんじゅです。

ノルウェーの首都オスロとその近郊の島で、

爆弾テロと銃乱射事件があり、92人の方が亡くなったようです。


http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20110725k0000m030063000c.html?toprank=onehour


犯人は革新系の現政権に反感を持つ極右の男性で、

かなり以前から、今回の事件を綿密に計画していたようです。


ノルウェーやスウェーデン、デンマークといった北欧といえば、

福祉先進国で、またイケアや北欧デザインなど、文化的にも寛容で、

「進んだ地域」のイメージが一般的だと思いますが、

その一方で、これらの国は高齢者の自殺率が高かったり、

また近年のヨーロッパ統合、グローバル化などの影響から、

若年者の失業率が意外と高かったりします。


ノルウェーでは90年代初頭頃からこうした社会情勢を背景に、

ナチズム(ヒトラーの考え方)や悪魔崇拝などに傾倒する若者が増え、

90年代前半にはブラック・メタル

(へヴィ・メタルの1ジャンルで、悪魔崇拝や殺人、ナチス賛美を歌う)の

バンド・メンバーを中心とした「インナーサークル事件」と呼ばれる、

一連の事件が起こっています。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AB


そもそも90年代初めくらいから、ヨーロッパでは「ネオナチ」と呼ばれる

極右の思想傾向を持った若者たちが急激に増えているといわれます。

ドイツ思想史家・三島憲一さんの『現代ドイツ』という本では、

ネオナチによるトルコ系移民への凄絶な暴力の様子が描かれていましたが、

そうした急激に勢力を拡大するネオナチの若者たちを背景に、

フランスではルペン、オーストリアではハイダーといった、

極右の大物政治家たちが、90年代後半から躍進することになります。


現代ドイツ―統一後の知的軌跡 (岩波新書)/三島 憲一
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そうした極右と呼ばれる人たちはよく、移民の排斥を主張します。

それは移民が入ってくることによって彼らの職や住処が

奪われるからなのですが、

今回のテロの犯人も、おそらく社会のそうした情勢に納得できず、

このような暴挙に出たのでしょうが、

しかし、テロから生まれるものは何もありませんし、

そもそも「移民排斥」という短絡的な主張自体が、

経済のメカニズムから言って

自分の首を絞めるようなものだと思います。


ともあれ、早くこういった事件が地球上から消えてくれることを

切に願いますし、

また、亡くなられた方々のご冥福をお祈りしたいと思います。