えんじゅです。

たまに無性に聴きたくなる曲のひとつに、

The BeatlesのThe Long and Winding Loadがあります。

あのゆったりした曲調に響いてくる弦の音が、

気忙しく渇いた自分の心に潤いを与えてくれるような気がします(笑)


http://www.youtube.com/watch?v=fUO7N-zSMYc&feature=share  


歌詞がまたなんとも言えず良いのですが、

実は僕はこの曲を最初に聴いたとき(中学生くらいでしたが)、

洋楽の曲をあまり歌詞を気にしないで聴く癖もあって、

「Will never disappear(決して消えることのない)」の部分を

「We never disappear(私たちは決して消えない)」と聞き違えていて、

後から歌詞を見て赤面すると同時に、それはそれでひとつの真実を

表しているような気がしたのでした(われながら都合の良い…)。


http://www.eigo21.com/03/pops/zb03.htm


The Beatlesの曲はどれも、言葉通りに、「never disappear」な曲だと

思います。

ジョンとポールの書く詞、メロディーは非常に美しく、力強いですし、

実際に歌われた曲も、ポリフォニック(多声的)で素晴らしいものだと

思います(今更言うことでもありませんが)。


話は飛びますが、僕はある時期から、「ポリフォニー」ということを、

ひとの作品を観る(聴く)上でも、自分の作品を作る上でも、

ひとつの指標としています。

旧ソ連の文芸評論家ミハイル・バフチンという人が、

この概念を使ってドストエフスキーの作品を分析していたそうですが、

ひとつの作品の中にひとつの主張しかないような作品というのは、

(それはそれでありなような気もしますが)やはり作品として貧しいように

思えてしまうからです。


ひとは物事を考えるときに、同時にいろんな複数のことを考えていると

思います。

真面目な政治の話をしてるようなときでも、

今晩のおかずは何にしようとか通りかかった女の子が可愛いなとか、

話してることとは全然関係ないようなことを考えてたりしますし、

時には自分では気づかないようなことをひとに指摘されたりもします。

それが「生」のコミュニケーションでしょうし、

等身大の人間だと思います。


僕は音楽の専門的な知識はありませんが、

西洋の音楽史ではポリフォニーは、

まさに「人間」の誕生した バロック期(17~18世紀)を準備する

ルネサンスの頃に隆盛したようですし、

バロック音楽(バッハとか)の要とも言える「対位法」の理論も、

「ポリフォニー」の理論を基礎にしているようです。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E9%9F%B3%E6%A5%BD


それぞれに異なった音色を響かせてひとつの作品にすること。

音楽でも文学でも政治でも社会でも、必要なことではないでしょうか。

Beatlesの音楽はそれを教えてくれるような気がします。