再びえんじゅです。
少し、というか、結構前に見た映画に
『ディア・ハンター』という映画があります。
- ディア・ハンター [DVD]/ロバート・デ・ニーロ,クリストファー・ウォーケン,メリル・ストリープ
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1979年の第51回アカデミー賞4部門に輝いた作品で、
ベトナム戦争を扱った代表的な作品のひとつです。
僕の大好きな俳優の一人であるロバート・デ・ニーロさんが主演です。
ペンシルヴェニア州のロシア系移民の田舎町で育った6人の若者たち。
製鉄所で働き、週末になると連れ立って仲間の持つキャディラックで
鹿狩り(ディアハント)に出かけるほど仲のよい彼らでしたが、
そんな彼らにも戦争の影が忍び寄ってきます。
この作品はそんな彼らの群像劇です。
徴兵され、ベトナムに向かうことになった3人、
マイケル(デ・ニーロ)、ニック(クリストファー・ウォーケン)、
スティーヴン(ジョン・サヴェージ)。
壮大な壮行会(このシーンがまたスゴイ)が開かれ、
それぞれの思い(マイケルは恋人のリンダにプロポーズします)を胸に、
戦場へと旅立っていきます。
しかし戦場は思っていた以上に苛酷で、3人がようやく再会したとき、
ベトコン(南ベトナム解放戦線)の猛攻にあって、
3人とも捕虜になってしまいます。
このときのロシアンルーレットのシーンが凄く残酷で、
スティーヴンはその恐怖から精神に異常を来たしてしまいます。
マイケルの機転でなんとか捕虜小屋を脱出した3人でしたが、
マイケルとスティーヴンは救出のヘリから川に落ちてしまい、
スティーヴンは足を負傷、その後バラバラになってしまいます。
2年後、マイケルは胸に勲章をつけた英雄として帰国しますが、
リンダをはじめ友人や町の人間と、もう以前のような交流はできず、
ひとり孤独に過ごすようになります。
そんなある日、ふとしたことからスティーヴンが生きてる事を知り、
マイケルは病院(陸軍病院)を訪ねますが、
そこにいたのは足を失い無残な姿になったスティーヴンでした。
かける言葉もなくスティーヴンと向かい合うマイケルでしたが、
やがてスティーヴンの話から、
毎月ベトナムから定期的に送金があることを知り、
ニックが生きてる事を直感、すぐさまベトナムへと向かいます。
そして悲劇的な結末を迎えるわけですが、それはまあ、
ご覧になってみてください。
この作品は声高に反戦のメッセージを叫んでるわけではありませんが、
それだけに胸に迫るものがあると思います。
ロシアンルーレットのシーンなどから「アジア人蔑視」の批判も
あるようですが、
僕はむしろ、自身がベトナムでの戦闘経験があるマイケル・チミノ監督が
純粋に自分の体験だけを基にして描いた結果だろうと思います。
DVDに収録されたインタビュー映像で監督自身も言っていましたが、
タイトルの「ディア・ハンター」という言葉自体が、
ひとつの暗喩になってるようです。
戦場において、敵兵は鹿のようなものですし、
また戦場に駆り出される人間自身もまた、鹿のようなものです。
いつ、どこで、誰によってターゲットにされるかは誰にもわかりませんし、
その意味ではこれは戦争に限ったことではなく、
交通事故など、より身近な次元においても言える事の様な気がします。
世の中はそういう偶然性、悲劇性の上に成り立っている――
だからこそ、「つながり」というものが必要になってくるのだと思いますし、
それを断ち切ろうとするものへの静かな、それでいて強烈な怒りが、
この作品からは伝わってくるような気がします。