えんじゅです。
クリスマスですね。
なので、ちょっとロマンティックなものを
あげてみます(笑)
タイトルは『7年後の未来』です。
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7年後の未来
星々の間を漂い
いつ終わるとも知れない
孤独の暗闇の中を
君は帰ってきた。
大宇宙(おおぞら)の向こうの
僕らと同じに
孤独な仲間たちを求める
異星の者たちの手紙を
僕らに届けるために。
その手紙にはなんと書かれてたか
今はまだ知ることができない。
あるいはネリリと書かれてるか
キルルと書かれてるか
ハララと書かれてるか…
君が辿(たど)ってきた道は
果たしてどうだったか?
滑らかな
氷のようなもの?
いや、きっと
ごつごつとした岩の転がる
果てしない砂漠を行くような、
そんな道だったろう。
田舎の郵便屋のように
君はその悪路を
人も想像できないような苦労をして
乗り越えて来たに違いない。
そうして辿り着いた
君のこの故郷は
果たしてどうだった?
君はもう覚えちゃいないかもしれないが
君が旅立った7年前よりもずっと、
きっと茶色く汚れていたかもしれない。
君のいないこの地球で
僕らはずっと孤独に脅えてきた。
ある時はあまりに孤独で
互いにいがみ合い、
憎しみあい、疑い合い、
殺しあいさえした。
この青い地球の上を
僕らの血の色で
ますますどす黒く塗り潰して
しまいたくなった。
君の見た7年後の未来は
きっとそんな世界だ。
君は落胆したに違いない。
けれども同時に
そう遠くない未来に
微かな希望も抱いたかも知れない。
この宇宙が生まれた時のように
青白い幾つもの輝きが
君の儚い帰還に
無数の未来を夢見たのだから。
もしかしたらその未来こそが
これからの7年後の未来なのかもしれない。
そのときにはきっと
君の届けた手紙も
解読されているだろう。
そして僕は微睡(まどろ)みの中で
それへの返事を書く。
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先日(といっても1週間ほど前ですが)、
NHKで「はやぶさ」の特集の再放送をやっていて、
それを見て書いたものです。
一読してわかるとおり、
谷川俊太郎さんの『二十億光年の孤独』に対する、
ひとつのオマージュでもあります。
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「はやぶさ」は帰還までに7年かかったそうです。
人類の夢を乗せて、数々の苦難に耐えながら、
よくぞ帰ってきてくれたと思います。
その「はやぶさ」のもたらしたものが、
人々の感動であり、
宇宙科学の偉大な発見であったことを考えると、
まだまだこの国の未来も捨てたものではないと
思います。