お前たち 存在がそっと

その大きな顔をそむけてしまった

者たちよ ひとりの

たぶん存在する者がとなえるだろう

 

外の 自由な世界で

夜 おもむろにひとつの祈りを

お前たちから「時」が消えてなくなるようにと。

なぜならお前たちは「時」を持っているからだ

 

もしもいまお前たちに思い出が浮んだら

やさしく自分の髪をつかむがいい

すべては失われてしまったのだ

むかしあったものはみな。

 

おお お前たちの心が老い果てたなら

いつまでもじっと静かにしているがいい

そのようなものがあろうとは

どんな母親も知ることがないように

 

空には月がたちのぼった

木の枝が二叉に岐れているところに。

まるでお前たちがそこに住んでいるかのように

月はいつまでも孤りぼっちだ