日本エレキギター史【私家版】Vol.7 テレキャスター編 | STUDIO 67

STUDIO 67

ブルースとプロレスと、ほんのわずかの愛だけで生きていくBLOG

国産エレキギターの大まかな流れとして

 

・ビザール・ギターの60年代

・レスポール風オリジナルがトレンドの70年代

・スーパーストラトが登場した80年代

 

ということを書いてきたつもりだ。

その流れでどうしても書けなかったギターがある。

 

テレキャスター・・・

 

今でこそギター/ボーカルの定番として不動の地位を築いているが

日本のギター史では長らく不遇な状態であった。

GS時代から長年愛用していたのは、ゴールデン・カップスの

エディ潘氏くらいだろう。

 

国内メーカー各社も古くからテレキャスは製造していたが

もとがシンプルなギターゆえにビザール度もイマイチで

好事家の間でも話題になることは少ない。

 

その中で、わずかながらも独自性のある国産テレが登場する。

 

ELK カトラス

 

トグル・スイッチにビグスビー(風)アーム

画像ではわからないが、バックは軽量化のためにくり抜き

バックルガードを兼ねてウレタンを詰めた・・・という逸品だ。

 

しかし、発売されたのは69年ごろ。

(寺内タケシ氏の当時のアルバム・ジャケットで確認できる)

ハードロックへと向かう時代の流れに埋没してしまうのだった・・・。

 

テレキャスに脚光が当たるのは70年代後半になってから。

クラッシュらパンク系や、ボブ・マーリィのレゲエがブームになり

リズムギターの重要性が問われるようになったのだ。

そんな流れにいち早く目をつけた日本のギターメーカーがあった。

 

MOON レゲエ・マスター

 

81年に発売されたこのリズムギター特化型のテレキャスは

The MODSの森山氏の手に渡り

ビート・ロック=テレキャスのイメージを強く印象づけた。

 

そのイメージを不動にしたのが、国産テレキャスの中でも

別格の認知度を誇るこのギターだろう。

 

FERNANDES TEJ

 

布袋寅泰氏シグネチャーの普及版として登場したこのギターは

デザインの完成度と相まって、日本中のギターキッズを虜にした。

 

現在もフェルナンデスの主力器種なのだが、特定の世代にとっては

布袋氏のイメージが強すぎて手が出しづらい、というのはある。

せめてカラーバリエーションがあれば、もっと普及すると思うのだが。

 

以上、国産テレキャスター・モデルの代表的な器種を挙げたが

時は1984年、意外なところから国産テレキャスに注目が集まった。

 

H.S.Anderson マッドキャット

 

プリンスの『パープル・レイン』が世界的ヒットとなり

彼が手にする一風変わったデザインのテレキャスも話題となった。

 

このいかにもプリンスが好きそうな

荒木飛呂彦氏の作品に出てきそうなギターが

日本製であることを知った時の衝撃といったら・・・!

 

プリンスは『最も過小評価されているギタリスト』とも言われる。

世界的ギタリストが手にするテレキャスが日本製というのは

やはり感慨深いものがある。

 

その究極の例が次のギターだろう。

 

YAMAHA PA1511MS

 

問答無用のスーパー・ギタリスト

マイク・スターン氏のシグネチャーである。

もともとストラトタイプのヤマハ・パシフィカを

わざわざテレキャスタイプに作り替えさせたこだわりの逸品だ。

 

正直欲しい・・・が、若干お値段が高い。

一時は普及版もあったようだが、わずか一年で生産終了。

なにか契約上の問題でもあったのだろうか。

もしそうでないのなら、再発してくれないだろうか(チラ見)。

 

ううむ、やはりシングル・カッタウェイのギターはいいな。

それでは、また。