夏目漱石【三四郎】 | STUDIO 67

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いわゆる”文豪”といわれる作家の小説を

ほとんどまともに読んだことがないのに気がついた。

 

森鴎外、芥川龍之介、樋口一葉、太宰治・・・といった

作家を読み進めているのだが、自分でも意外なほど

夏目漱石にはまっている。

 

漱石の魅力は

①男女の機敏や青春の葛藤というわかりやすい物語を

②読みやすい口語体で

③読み応えのある中長編を多数ものにした

ところだと思う。

 

特に②③が個人的には重要で

文語体でとっつきにくい鴎外や一葉、

中長編をものにできなかった芥川よりも

漱石に惹かれる所以である。

 

決してインテリを気取って言うのではない。

マジで漱石は現代日本文学の創始者だと思っている。

 

面白いことに処女作【吾輩は猫である】を読んでいると

最初のほうは台詞と地の文とがつながった

文語体に近い文体だが、後半に入ると台詞ごとに改行が入る。

今では当たり前になった文体を開発したのが漱石ではないか

まあ文学史の専門家ではないので断言はできないが。

 

そんな漱石の作品で、一番おすすめの作品は

なんといっても【三四郎】である。

 

 

徹頭徹尾エピソードの羅列になる【猫】

面白いが投げっぱなしジャーマンで終わる【坊ちゃん】

主題が後半の”手紙”に集中し、ややバランスに欠ける【こころ】より

起承転結のしっかりとした構成、恋愛と青春を主軸にしながら

明治維新後の価値観の変化(と結局変わらなかったもの)を

描き切った傑作だと思う。

 

にもかかわらず、知名度は上記三作に劣る不遇な作品である。

映画にしたら結構いけると思うのだけど。

 

【猫】の読みづらさに諦めてしまった人や

【坊ちゃん】【こころ】だけ読んで満足している人にひ読んでもらいたい。

やっぱ漱石スゲエやって思うはずだから。