23日から始まったオリンピック
このオリンピックのおかげで(?)、
夫(テレビマン)は
少し前からめちゃくちゃ忙しい
オリンピックシフトになっている。
(つまり私はワンオペなので
義実家に避難した訳です)
夫は休み返上で出社したり、
休みの日も在宅勤務になったり。
大変そうです
先日の在宅勤務中の夫との会話。
「なんか大変そうだね〜」
「オリンピックでやることいっぱい」
「今なに抱えてるの?」
「許諾だよ…
映像の許諾申請…」
映像を制作する上で、
過去映像を使うことも
多々ある訳ですが、
(オリンピックなら過去大会の映像や
過去の選考会や予選などの映像、
個別に密着取材した過去映像など)
これらを使用するには
許諾申請が必要です。
著作権があるのでね

「ディレクターが許諾
??

え?ADは??」
思わず驚いて聞き返す私。

アラフォーの私が
まだ映像業界にいて
ADだった20代前半の頃。
15年くらい前ですが、
許諾申請といえば
ADの仕事でした。
許諾申請ってめちゃめちゃ
面倒くさいんですね

まず、
これから作ろうとしている映像
(記者の場合は
書こうとしている原稿)を想定して
使いたい&ふさわしい
過去映像や過去写真を探していくわけです。
これをアーカイブから
見つけてくる作業だけでも
大変なんですが、
ここからそれぞれの許諾元を見つけて、
使用するであろう映像の尺も出して
許諾元に使用許可を取るんです

こんなこまごました作業、
ディレクターがいちいちしていたら
取材も原稿執筆も映像編集も
手が回りません

そこでADは、
ディレクターが仕事しやすいように、
(取材や編集に集中できるように)
先に映像検索や許諾元の洗い出しをして
なる早で許諾申請します

使える映像や写真が少ないと
編集時に画の選択肢が減って
困りますからね

私や夫がADだった頃は、
許諾申請はADがやるもので、
局内のライツ審査部を始め
各団体や協会なんかに
頻繁に連絡してました(芸能もスポーツも)。
ほんっとに面倒だったけど、
今思うとこういう作業を通して
著作権について学び、
コンプラ意識も
かなり身についたと思います。
あとはこうした作業を通して、
「ディレクターが
どんな過去映像を欲していて、
どんなVTRを作ろうとしているか」を
予測する力も鍛えられます。
自分がVTRを作る側になった時を
想像すれば、
必要な映像素材を予測し、
先回りして準備する癖もつきます。
「ディレクターが許諾
??

え?ADは??」
の問いに対して夫。
「今の時代、
許諾申請は
ディレクターが
やるんだよ…
」

「え?なんで
??」

「だって…ADが
許諾申請できないから…
」

「???
できないってどういうこと?」
「申請先を間違えたり、
使っちゃいけない映像を使ったり、
大事な映像素材のマスターテープを
消去しちゃったり…」
「えええー

????



そんなミスする??」
「するんだよ…

AD任せにすると
取り返しのつかないミスが多いから、
もう何年も前から
『許諾申請や映像管理は
ディレクターがやりましょう』って
ことになったんだよ…
」

ひたすらオリンピックの
過去素材や許諾先探し&申請に
追われる夫……

「くっそぉぉぉ





ディレクターになったら
許諾申請しなくてすむと
思ってたのにー







なんでこの年になっても
許諾申請してるんだ俺はぁ(´Д`)」
夫、落胆

いや、気持ちはわかる。
許諾申請、
めちゃくちゃ面倒くさいから

「ディレクターになったら
許諾やらなくてよくなる
」って

ちょっとモチベーションになるくらい(笑)
今のADさんは
許諾申請しなくていいのかぁ……。
羨ましいなぁ……。
「じゃあADは何やってるの?」
「え?
なにもしてないよ。
コピー取りとか?
一番早く帰るし……」
「えええー
???」

「ホント、何してるんだろうね。
企画も考えないし、
一人でロケにも出ないし。
かといって先輩のロケに
ついて学ぶとかもしない。
許諾はディレクターがやるしね。
ホント、何やってるんだろうね。」
「それ…
ディレクターになった時に
困らない?
ロケやインタビューの仕方も
編集もわからないだろうし、
許諾やってなかったら映像元や
著作権の知識もつかないし……」
「うん。すごい苦労すると思う。
言い方悪いけど、
そんなに大したディレクターには
なれないと思うよ。
『企画書出して』って伝えても、
『今インスタでこんなのがバズってます』
って一行だけだったり。
『で…?次は…?』
って聞いてもなにも出てこない。
普通さ、
『こんなバズり現象があります。
なのでこれとこれとこれを追加で
取材して、こんな展開にして、
着地点はこうします』って、
どう展開するのかまで考えるじゃん。
でも情報を調べただけで
企画出したと思ってるんだよ。
肉付けは俺らディレクターがやって、
長時間働かせられないから
早く帰らせて、
結局俺らが取材して編集する。
これが普通だと思ってる。
これじゃ、かわいそうだけど
成長できないよね」
「……時代だね……。
うちらがADの時は
先輩についてロケしたり、
企画出して一人で取材したり、
先輩が帰るまで帰れなかったり
したけどね…」
「そんな事、絶対言えない。
『先輩が帰るまで帰るな』とか
そんなの言ったらパワハラになるし
一発アウト

確かに意味なくダラダラ居残るのは
意味がないけど、
できないのに
できるようになろうとしなかったり、
わからないのに学ぼうとしない。
初めての業務があっても
予め学ぼうとしないで
本番でいきなりやるから
ミスするしね。。
許諾にしても企画書にしても、
働き方にしても、
注意するのはかなり神経使うから、
結局言わなくなるよね。
だからどんどん、
成長する機会を失ってる気がする」
いやぁ…時代は変わりました。
私も夫もまだキリギリ
努力や根性の世代です



まぁ相当ブラックな環境で
働いてきました



わからない事があったら
休みの日でも先輩について
研修に入ってました。
でもそれは
イヤイヤやってた訳じゃなく、
本番でできない不安やプレッシャーを
解消するためです。
私が初めての業務をすることに
なった時、
休み返上して
敏腕先輩ディレクターに何度かついて
その業務を学んだことがあります。
その時に先輩から言われた言葉。
「いいか。本番は練習じゃねーからな。
本番を練習にするなよ。
本番で完璧にできるように
先にしっかり学んで練習しとけ!
不安だと思ったら何回でも
研修についていいから」
すっげーチャラチャラしてた
先輩だったんですけど、
そのプロ意識には感心しましたよ。
だから何度も教えて頂きました。
でも今はたぶん、
休み返上して研修するとなったら、
時間外労働だー、
労働力の搾取だー、
とかいろいろ面倒なんでしょうね。
「最近の若い人は……」と
言いたくなる気持ちは
わからんでもない

でももちろん、
根性世代の私も、
無駄にダラダラと意味のない
長時間労働や、
病みまくって寿命縮めるような
働き方は無くなるべきだと思ってます。
私は仕事人間ですが、
もちろん仕事だけが人生じゃないし、
仕事は仕事と割り切っている方も、
仕事とプライベートをしっかり分けて、
プライベートの充実に
重きを置いている方もたくさん
いらっしゃると思います

だから
「どの世代も
自分の時間を大切にできる働き方」
というのはとても重要で、
今後も改善されていく必要が
あると思います。
ただ、学びの機会や成長の機会は
きちんと与えられても
いいのかなぁとも思う

あと結局、
ADは楽になっても
ディレクターは
楽になってないという事実

ADさん、
せめて
許諾申請はやってくれー

そしたら私も
多少はワンオペ育児から
解消されるんだよぉぉ



アラフォーおばちゃんの
ちょっとした愚痴でした
