【MA】映画「この世界の片隅に」感想 | 魔法結社ふゆMA!

魔法結社ふゆMA!

お前とはまた出会えるような気がしてた…ようこそ。



■どうも、MAMORUです。

映画「この世界の片隅に」観てきました。
僕が泣くツボとは違ったので涙は流れませんでしたが、
今年観た映画の中で最も心が揺さぶられる快作でした。

少しだけ感想を書きますが、大きなネタバレはありません。
なお原作漫画は未読です。



この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック/双葉社




■戦争を題材にした作品には特に疎いけど、
それでもビンビンに伝わってくる現実感、臨場感。

かといってただ重苦しい雰囲気だけを表現するのではなく、
当時における人々の楽しみ、悩み、希望、不安が
本当に丁寧に描写されており、映画に求められる
静・動、明・暗という極上の緩急が存分に堪能できる。
(これが大雑把だと短編作品でも飽きやすいと思う)

そんな人たちが世界が時間が戦争という現実に
徐々に飲み込まれていく様子の描写も抜群に上手く、
またそれは「すず」のキャラクター性無くして成し得ない。




■場面によっては「すず」の言動にイラつく人はいるだろう。
のんびりしているけれども、芯のある働き者。
結果的にプラスに働いた事もあるが、やらかしも多い。

しかし確かに存在する個性的なたくましさには、
登場人物も視聴者も魅力を感じざるを得ない。

この作品には明らかに異質なファンタジー要素が1つあるが、
戦争はその豊かな想像力すら、すずから奪ってしまう。
そしてラストで唐突にそれを思い出させる演出がまた粋だ。


女優・のん(能年玲奈)の抜擢も成功だろう。
発声自体には熟練本職との差を感じるも、演技等でカバーし
ちゃんと主人公「すず」として成立していたと思う。

「すずでありたい」という意志が伝わってくる稀有な例で、
本人の力はもちろん、監督たちの支援も的確だったのではないか。




■また、特徴的なタッチのキャラデザとコミカルな動き、
そして当時確かに存在したであろう、国民たちが抱く
堂々たる軍艦や兵士への期待・希望といった描写により、
戦争の悲劇を押し付けられている感覚になりにくいのもいい。
これが「やっぱり戦争は怖いね」(小並感)という印象だけに留まらず、
非常に充実した満足感へと繋がったのではないか。

特に玉音放送直後の人々の反応は意外性があり、
現実でそうだったのかは別として、印象的なシーン。


どんな事も「戦争中だから」で納得しようとした時代、
一体すずたちは何を拠り所にして生きていたのか。
そしてそれが呆気なく失われた時のすずたちの感情が、
視聴者にダイレクトに突き付けられる。

平々凡々とした日常生活がどれだけ愛しく大切か、
すずたちの生き様を通して考えさせられた130分だった。




■そんなわけで、サラッとですが感想でした。
興味のある方は是非、予告編は見ないまま
映画館での鑑賞をオススメします。

他の方の詳しい感想はこれから読みますが、
個人的には前評判からの高い期待値を越えてきた
本作が2016年度No.1アニメ映画です。