シャッターアイランドを見てきました。


監督:マーティン・スコセッシ

出演:レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ、ベン・キングズレー

公式サイト:http://www.s-island.jp/


◆おはなし◆

精神をわずらった凶悪犯たちが収容されている孤島・シャッターアイランド。

脱出不可能なはずのその島で、ある女囚が消息を絶った。

謎の失踪をとげた女囚を探し出すために、保安官のテディは相棒のチャックとともに島に派遣されてくる。

捜査を進めるうち、テディは病棟に勤める医師や看護師たちの態度に疑問を持ち始める。

テディが最後にたどり着く真実とは。


真実とは。


真実とわ.……。



なんというか、そんなビックリドッキリ大どんでん返しなオチではありません。

私は実は原作を読んでから映画を見に行ったので、はじめっから全部知ってましたが、それにしてもそんなに度肝を抜かれるようなものではないと思います。


はじめのうちは結構眠いし、もっちゃらもっちゃら進みます。

それに、マーク・ラファロ演じるテディ(レオ様)の相棒役の名前がなかなか出てこない。あんまり親切な訳じゃなかった。

みなさん、テディの相棒の名前はチャックです。


そもそも映画自体は、


さあ、みんな、最後のどんでん返しに驚け、わめけえぇぇーーー!


的な持っていき方ではなくて、「さ、そろそろわかった?」「これでわかるでしょ?」といったチラリズム的な演出だったと思います。


しかししかし、このお話の肝心な点は、言葉遊びというかアナグラムなんですよね。

それは日本人にはなかなかピンときにくいところなのだけれど、そのへんの説明はつるっと終わります。

たぶん、英語圏の人にとっても簡単じゃないと思うんだけど……。


でもまあ、後半に入りエンジンがかかってくると、レオ様の演技も「あー、やっぱりこの人は演技派だな」と思えるようなものが見えてきました。


ラストも、なかなか良い終わり方だったと思う。

小説を読んだときの印象と違っていました(単なる読み落としかもしれません……)。

私は映画のラストのほうが好きかも。


どこでロケをしたのかわかりませんが、どれもこれも合成ぽくて、そのへんはいただけないな、と思ったのですが、オチからすれば「これも演出の一部です」と開き直られたら言い返せないかな(笑


私の場合は、本を最初に読んでいたからなんとかついていけたけれど、読んでなかったら、ドロレスやらレイチェルやら、女性が誰なのか最後までよくわからなかったんじゃないかと思います。


というわけで、全体の感想としては、なんだか中途半端なホラー映画を見たような感じでした。

孤島、暗号、嵐、不可能消失なんてキーワードがちりばめられていますが、本格ミステリーを期待していくと失敗します。


良かった点は、役者。

結構長いので、居眠り注意。


この映画に関しては、見てから読んだほうがよかったかも。

(私の場合、たいがいそうなんですけれど。)

シャッター・アイランド (ハヤカワ・ミステリ文庫)/デニス ルヘイン
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この原作自体、どんでん返しを最重要ポイントにして書かれた本じゃないと思います。

デニス・ルヘインは、『ミスティック・リバー』なども書いています。

子ども店長が、白髪染めのCMに出ているのを見て、ちょっと思いました。


「カッコわるいのは白髪じゃなくて、白髪をほうっておく、その心~♪」


ってやつです。


白髪を放っておく心がカッコわるいのなら、やっぱり白髪はカッコわるい、ということになるんじゃないのか?

そもそも、放っておくとかいう表現自体がおかしいんじゃないのか?


白髪がないからカッコいい、とかそんなことなら話は簡単でいいですね。


「年を重ねる」、「老いる」、ということに、マイナスのイメージを付与しがちの昨今。

私も年をとるのは嫌ですが、かっこ悪いかどうかは白髪の数じゃあないだろう、というかむしろ、白髪のある人はかっこいいぞ、と私は思うのですけれど。


しかも最後に、「パパである前に男であれ!」なんて。


そんなこと、てめーみたいなガキに言われたかねえよ、と私だったら思うね。


いちばん嫌なのは、こんな歌を全然意味もわかっていない子どもに歌わせる大人の神経です。

(わかってたらゴメンな、子ども店長。)


それに、パパがパパである前に男だったら、いろんなところに見知らぬ兄弟ができてしまうぞ、子ども店長!(多分)

久しぶりです。
マキリップの『冬の薔薇』という本を読みました。

妖精タム・リン伝説を下敷きにしたファンタジーです。



「あたし」ことロイズは不思議なものを視る力のある少女。

森の中を裸足で歩き回っては、姉のローレルや父親を心配させています。


そんなある日、森の中で、ロイズは光の中から歩み出てくる青年を見かけます。


少しして、コルベット・リンという青年がロイズの住む村にやってきます。

コルベットは、すでに住む人もなく、久しく廃墟と化していたリン屋敷に戻ってきたのでした。

呪いをかけられた青年と村中の注目を浴びますが、ロイズはコルベットが森で見かけた不思議な青年とよく似ていることに気づきます。


コルベットはロイズの家にも訪れるようになり、ロイズは彼に心惹かれていきますが、姉のローレルもまたぺリンという婚約者がありながら、コルベットに惹かれていることに気が付きます。


コルベットにかけられた呪いとは。

ロイズの想いの行方はどうなるのか。



厳しく冷たい冬の情景と、ロイズが踏み入れる美しい幻想とが混じりあうファンタジーですが、その中でも、「人間らしくない」少女の成長がしっかりと描かれています。


本来、恋愛感情なんてとても身勝手なものだと思うのですが、そうとはわかっていても相手に「おまえはいらない」と言われるのはつらいものです。

ロイズは少女らしい恋情から、コルベットのことを知ろうとし、そして彼を呪いから解放しようとします。

でも、そうすれば彼は自分のもとから離れていく。

彼はロイズを見てはいないからです。


それでも、コルベットを救おうとするロイズの行動が、自己犠牲だとかマゾヒズムだとかヒロイズムだとか、そういったもののようには見えず、彼女自身が成長していく過程そのもののようで、そこが秀逸だと思いました。


でもま、簡単に言うと、「恋っていいよね」って思わせてくれるところが良いわけです。


もっと若いときにたくさん恋をしておけばよかったと思いました。

なーんてね。


冬の薔薇 (創元推理文庫)/パトリシア・A・マキリップ

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