杵家会 | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

初冬の四谷は紅葉が綺麗だ。

まだ十一月なのに上智大学では入学試験をやっていた。推薦入学枠の試験かしら???

聖イグナチオ教会では結婚式をやっていた綺麗な花嫁さんに遭遇(^^♪

今日は絶好調な一日だなぁ^^


さて、紀尾井ホール。昨年の『島の千歳』以来。今日は客席だ。

杵家会は長唄の杵家派の選りすぐりの方々の演奏会だ。

『志賀山三番叟』・『紅葉詣』・『那須野』・『梅の栄』・『雨の四季』・『喜三の庭』・『蜘蛛の拍子舞』

全部で八曲の演奏会。

おさらい会でないのですから八曲は多いと思うのですが・・・

せめて五曲がちょうどよいのになぁ。・・・といつも思う。


この会は、いつもお囃子以外は身内でまとめている。なのに、今回は杵屋佐喜氏が特別ゲストでした。

若くてハンサムで美声な佐喜氏。大好きな演奏家さんの一人である。

たぶん、若手では一番安定した芸の持ち主だと私は評価している。

佐喜氏が出演するなら行かなくちゃ!

お囃子は人間国宝の堅田喜三久氏など一流の方々ばかりです。

もう八十歳を迎えられた喜三久先生。元気ですね。


よくお稽古の時、師匠に「ここは外さないというところがきちっとしていれば、中身がグチャグチャでもそれらしく聞こえる」と言われる。

そうそう、ノリが速いのに手を真面目に全部打とうとすると、うるさかったり間に合わなかったりする。

“グチャグチャ”という言葉に語弊があるかもですが、抜き撥をしたりという事で全然違う手でごまかしちゃえという事ではありません。

その見本を人間国宝様から本日は学んだ。

常に地方の方は常間とは限らずうねる事がある。そういった場合のつき方のお手本も学んだ。

しかし、普通に聞いているとまっすぐに聞こえるけれど、お囃子を聴いていると“うねっている”という事が分かる。不思議である。


さて『四季の山姥』の冬の部分で、「へえ~♪」という感じ太鼓が入っていて吃驚。

「私、このように習っていない・・・。これは堅田の手?(打っていたのが住田の方なので)住田の手?」考えちゃいました。

調べたら、望月の古い手附けに“序の舞”と書いてあって、本来は笛と三拍子でやっていたようです。

たぶん、俄獅子の越の段と一緒ですね。

口説きの部分に該当するところでお囃子はうるさい。という事で不打ちになったのでしょうね。

現在、不打ちになった『俄獅子』の越の段も喜三久先生だけは本来通り太鼓だけですが打たれています。

それも曲を壊さないように、そっとそっと・・・。

調べないと断言できまませんが、たぶん、今は喜三久先生だけが打っていて、その他の人は無難に不打ちとしているところなんでしょうね。が、今回は他流派ですが、若いころからかわいがっていた方に挑戦をさせたのでしょうね。良いものを拝聴できました。深い深い雪山の風景が目に浮かびましたもの。


『雨の四季』は素晴らしかった。

お家元の奥様は芸大出身。この曲ができたころ、彼女は芸大の一年生か二年生。彼女のお師匠さんから「新曲の譜面なんだけれど清書してくれる」と頼まれたのがこの曲らしい。

今日の演奏も東音会的な奏法で素敵てした。やっぱり曲には強弱とかメリハリが大切。

ついでに、この曲のお囃子・・・。本来は蔭囃子で御簾うちの演奏ですが、その御簾うちの楽器を表に出して演奏するのが、この曲の場合に限ってだと思いますが流行っています。

人間国宝様の蔭の技術は絶品。素敵過ぎでした。

私も、桶胴とか大拍子とか手に入れて、黒御簾ごっこ自己満足でひそかにお家でやってみたいな。


『蜘蛛の拍子舞』

今日は、個人的に大ファンの佐門会の佐喜氏が特別ゲスト出演をされていました。

唄の師匠である弥佑氏とはぜんぜん声質が違って、どんな風にまとまるのか楽しみでした。

ぜんぜんアンマッチ二人の声が、実際には心地よいハーモニーになる。これが不思議ちゃん邦楽の世界です。いいなぁと思いました。ただ、やや不満。長唄って難しいですね。さすがに、プロであるお二人は除いて、うまいけれど説得力のなさにがっかり。

私は玉があって、太鼓地に移るあのガラッと変わる雰囲気がとっても好きです。

拍子舞の玉は長いし、結構大変で・・・

でも、大変が報われる場所なんですがね。。。

私の被害妄想かもですが、次の太鼓地の頭で、そのすべてが失われるくらいです。

唄も三味線も太鼓も素敵なところで、はっきり言ってその前の玉がぶち壊される部分と私は思っています。(小鼓的考え)

が・・・今まで拍子舞を聴いて、その前の玉が壊されなかった太鼓地を拝聴したのは初めてでした。

いやいや、うまい方々だと思うのですが、説得力なのでしょうか・・・
喜三久氏はある時から、徐々に次の大薩摩につなげるように、やさしさから力強さに演出を変えています。すごいなぁ。「くさい」という人もいるんですが、私はこの臭さが好きです。


拍子舞。。。懐かしいな。

私がやった玉とは全然違っていました。確かに替手が違うので。。。きっとたぶんアドリブなんでしょうね。

玉のA・B・C・(D)をアレンジするのですが。。。アレンジしすぎ!

でも、とっさにできちゃうプロって本当にすごいですね。


今日も楽しく休日を過ごすことができました。