生田コレクション | fuyusunのfree time

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長唄などの邦楽をこよなく愛する看護師のfuyusunです。
ナースの仮面を脱いだ、fuyusunの日常を綴っています。

昨日は師匠と国立能楽堂に行ってきました。
今、貴重な小鼓の胴を100本以上も展示している「生田コレクション」というのをやっているんです。
圧巻でした。

演奏家さんが使用している小鼓って、ここに展示してあるようなものを使用しているんです。
そうじゃないと音が出ないのですよね。
昔の胴というのは手彫りで、色々と音色を楽しめるように鉋目(かんなめ)という胴の中に傷みたいなものを入れて工夫されていたりするんですよ。小鼓は、表皮を打って胴にその衝撃を裏皮に伝えて反響させて音が出るんですよね。つまり胴に傷が付いていると、その衝撃波に刺激(?)が加わって音にふくらみを持たせたり、反響を変えたりする事ができるんです。…説明が下手…分かんないよね。
でも、今の小鼓は機械化された中で作られるので中には鉋目というのが入っていなくてツルツル。
本来、小鼓の胴ってどれ一つ同じものが無いわけ(手作りだから)ですが、今は既製品ですから全て蒔絵が違うだけで同じな訳ですよ。詰まんないでしょ。
でも、つまんないと言っても仕方ないのですよね。小鼓の胴を作る人がほとんどいなくなっちゃったみたいですから…。
ですから、よい小鼓を買おうとすると古道具屋さんなどを回って探すんですよ。なかなか手に入らないのよね。おまけに偉く高価だし。
という事で、趣味でチョコチョコというような人は既製品の小鼓の胴でおまけに新しい皮が張ってあるものを手に入れて練習するんですよね。
そうそう、小鼓って皮も打ち込んでいないといい音が出ないのです。新しい皮はどんなに上手な人が打っても変な硬い音がします。過去に小鼓を使っていた方が一生懸命に打ってくれたおかげでよい音色が出るようになるんですよね。

ぐじゃらぐじゃら書きましたけれど、小鼓というのはそういった楽器なんですよ。
ですから、小鼓を楽器として捕らえている私なんぞには、昨日のような展示会に行くとなんかとっても淋しいもの感じてしまうのです。
本当は、音を奏でて人々の耳を楽しませるために一つの木の塊から命を吹き込まれた小鼓の胴でしょ。
それなのになんでこんなところですまして人々の目を楽しませる美術品になっちゃっているのかな?
おーい、こんなところで遊んでいないで、君の音色を聞かせておくれよ。
そんな気分になってしまうのでした。

昨日は師匠と一緒でしたので色々勉強になるお話も伺えたし充実の一日でした。
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