私は、20数年塾や私学の取材を重ねてきて、塾と保護者様・お子様は「バランスのとれた塾との関わり合い」をしてもらいたいと考えております。バランスとは、『冷静』と『感動する心』で、親子共々で塾との信頼関係を構築してほしいという意味です。決して、モンスターペアレントになってもらいたくないのが私の正直な気持ちです。かつて、ある塾の経営者の方が生徒から「先生は僕たちが月謝を払っているから生活できるのですよねと言われたことがある」と言っていました。正しく、その通りなのですが、だからと言って生徒が、保護者の方が、塾に対して横柄な態度をとっていいというわけではありません。やはり塾の方々も同じ人間ですし、全力で子供たちのためにご指導なさっています。加えて、感情や思考があります。
◇嫌われるお家
・お金や物で迎合はご法度!
大手の塾に勤められていた方が「以前、塾にお父さんが乗り込んできたことがある。何事かと思ったらそのお父さんが「先生!お金はいくらでも積むからどうか息子を灘に入れてやって欲しい」と土下座をされたことがある」とおっしゃっていました。もちろん、即決、お断り! お父様を宥めたらしいのですが、こういった類の話しはよくあるようです。お金以外にも、プレゼント攻撃。自分の子供を贔屓してもらうために、頻繁に商品券やら菓子折りを持っていかれるケースです。私が取材を始めた頃は、塾長先生が商品券の束を持っておられる方が非常に多かったですね。少し話はそれますが、医療でも同じことが言えます。歯科衛生士の時、患者さんがDRに菓子折りなどをよくお渡しされていたのを目にしていました。
でも今は、お歳暮類なども受け付けてくれない塾も増えています。ですからプレゼント攻撃は時代錯誤と言えるでしょう。
・塾任せや保育園のように預ける(通わせる)
とにかくその家の教育プラン、家庭方針を言わず(無く?)、塾に丸投げ、何でもお任せのお家も「やりにくい」と聞きます。例えば、「成績だけ上げてくれればいい」「志望校に合格さえしてくれたらいい」、あるいは「志望校は塾が決めて」というケース。また、子供を「預かってもらう」という考え方の場合も、塾側から嫌われる要因となります(今はコロナの休校措置で違いますが…。通常の場合です)。だって塾は「教えるところ」「学ぶところ」ですからね。預かってくれるところでないことを頭にいれておきましょう。但し、ワーママやシンママなど一生懸命働いておられ事情がある方々は、塾(一部)は寛容で親切です。そこが塾のいいところの一つです。
◇好かれるお家
・子供からお世話になっている先生へ
塾の方にとって教え子(ここがポイント!)から、プレゼントされて喜ばれる場合が多いのは確かです。例えば、修学旅行や家族旅行、田舎への帰省し、お土産を渡すことです。これは、取材のときに、実際見せてもらって、「これ、生徒さんが修学旅行で買ってきてくれたのですよ」と嬉しそうにおっしゃった先生が沢山いらっしゃいました。他にも、SNSの塾の方の投稿でよく見かけますね。何故、嬉しいかと言うと、「ちょっとした気遣い」がそこにあるからです。楽しい修学旅行のときに「一瞬だけでも塾のことを思い出してくれた」という行為そのものだとおっしゃってました。
・その家の教育プランが明確
先ほどとは逆のパターンです。その家の教育プラン(考え)、「将来子供が〇〇になりたいので、□□中学に行きたい(行かせたい)」など をしっかり塾に伝えられることです。特に、親の意見ではなく、お子様が強い希望、夢をもっている場合は、応援してくださいます。
しかし、あまり度が過ぎ、一方的過ぎて、塾からの忠告やアドバイスをスルーするのはかえって、逆効果なので、適度な匙加減、時に押して時に引くという点も大切です。
私は多くの塾の経営者の方々とお会いしてきました。「これで完ぺき!! 塾えらび」の出版の時も、塾人たちの教育に対する情熱や子供への愛、そしてご縁を大切にする心などに、突き動かされて、「世の中の人たちに塾の動きを知ってもらいたい」と思い執筆しました。
中学受験は、特に、お子様・塾・保護者様の3つのバランスが崩れると、目標達成が難しいと、ずっと言われています。私も自分の子供の中学受験、そして入学後の塾通いを通して、切実に感じております。どうか、お子様に合った、その家の教育プランにあった「塾」との出会いを実現してください。
お母さんのための学びコミュニティ 『歩和茶庵』
