お菅蓋(おかんがい)と女性風俗 | 風遊花(ふうか)~古布とうさぎとお雛様~

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~作品展 ものつくりをする仲間達 ギャラリー ショップ~
  大好きなもの 日頃の様子を気ままにご紹介します。

早くも 令和元年も 余すところ1か月。

天皇陛下の即位の礼に因む一連の行事が漸く終わりましたね。

毎日テレビに映し出されるお姿は 雅な平安絵巻そのもの。

まるでお雛様を見ているようで 天皇・皇后のお二人の姿を見ていました。

 

今回お二人が悠紀殿(ゆきでん)・主基殿(すきでん)へ行幸の時に目についたのが さしかけられた傘。

ニュースの解説で この傘が《お菅蓋》という名前の笠だと知りました。

(画像は ネットからお借りしました)

 

 

 

 

 

この傘を見た時 思い浮かんだのが 雛段の5段目に並ぶ三仕丁が持っている傘。

仕丁は 地方から宮廷に労働者として呼び寄せられた雑役係です。

 

関西では 左から 熊手を持った泣き上戸 塵取りを持った怒り上戸 箒を持った笑い上戸の順で並びますが 関東では 左から 台笠沓台立傘を持った仕丁が並びます。

台笠は 丸いかぶり笠を竿に乗せたもので 雨傘として帽子の様にかぶる笠 立傘は 日傘として使うさし傘です。

(画像は ネットからお借りしました)

 

 

 

天皇・皇后のお二人の行幸の時に差し掛けられていたお菅蓋という笠も 仕丁が持っている笠と同様の物かと思っていたら ニュースの解説で 天空の邪鬼から守るために使われるものだと説明していたので 少し調べてみました。

最近 調べごとをしても すぐに右から左へと抜け落ちて行くので ブログが覚書代わりですにひひ

 

 

お菅蓋は 竹を骨組みにして 菅(すげ)で編まれた笠。

菅はカヤツリグサ科の植物で 紙の紀元と言われるパピルスもカヤツリグサ科の植物です。

日本では 菅の茎を編んで ござや筵 菅笠や蓑が作られました。

お菅蓋は おつきの人が 背後から差し掛ける様にして使い、柄の先には 鳳凰が取り付けられているそうですが 画像の部分が鳳凰でしょうかね。

 

 

 

いずれにしても 一昔前なら畏れ多くて 大嘗祭の様子など一般庶民が目にすることが出来なかったはず。

神秘的で雅な世界を垣間見ることが出来る良い時代になりました。

 

お菅蓋を調べるうちに もう一つ頭をかすめたのが 平安時代の女性がかぶっていた薄いベールのような布が付いた笠。

あれも何だろうと気になり 一緒に調べてみました。

(画像はネットからお借りしました)

 

 

 

この笠の名前は 《市女笠》

菅や竹で編まれたかぶり笠で 元は市場で行商をする女性たちがかぶったことからついた名前だそうです。

平安中期以降は 公家の女性たちに使われ 江戸時代になると 檜の薄片で編み 黒漆を塗った高級品になりました。

こちらは 重要文化財に指定されている 石山縁起絵に描かれた石山寺詣の女房姿。

 

 

 

 

また 旅行の時に市女笠をかぶり 裾の長い衣服を 歩きやすいように腰部分で《つぼ折り(つぼめて(すぼめて)はしょる)》した姿を《壺装束》とよんだそうです。

鎌倉時代になると 鎌倉と京の都の往来は気運を高めるされ 女性も積極的に旅に出る様になりました。

旅の目的の一つが神社仏閣へ物詣だったそうです。

 

 

こちらは 鎌倉時代の女房たちが物詣に向かう時の装束を再現したものです。

 

 

 

 

 

 

 

上記の画像は 手持ちの資料本に掲載されていたものです。

この本 文庫本ながら 古墳時代から江戸時代後期までの女性風俗を再現 解説した本で とても面白いですよ~~

 

 日本の女性風俗史  桐畑健編  京都書院アーツコレクション25

               平成9年  ¥1000(税別)