さて、その頃(太陽プロで、「もう雑誌だ」と、はっきり言われだした頃)になると、当然町の貸本屋さんにも変化が見られました。
小野寺くんのお姉さん(私を太陽プロの漫画教室に連れていってくれた人。弟が二人いる長女で、実にしっかり者)に率いられ、かつての中学の(モグリの)漫研仲間が集まって、「買い出しツァー」に繰り出したこともありました。
貸本屋さんが店を畳むため、店にある漫画を格安で売り出していたのを、さらに安く買えるように(どうやってか、わかりませんが)彼女がお膳立てしてくれたのです。
都電に乗って環七を行き、一軒の貸本屋さんにはいると、待っていたお店の人が、
「20円でいいよ。あ、それは10円」
なんて言い。
私たちがせっせと好きな漫画を袋(遠足用のリュックだったか?)に詰めて、代金を払って帰ろうとすると。
またお店の人が、
「オマケだよ」
と、さらに数冊の本を(適当に選んで)袋に入れてくれたりしたのでした。
(その時オマケにもらった本が、まだ少し我が家にあります)
古くなった貸本は、以前は店の外のワゴンに出されて売られていたのですが、その時には店内がすべてワゴンと化した状態でした。
(白土三平と手塚治虫の単行本は、例外的に100円で売られていました)
太陽プロでは、貸本界がそのようになることは、何年も前からわかっていたのです。
太陽プロの設立目的が、そもそも雑誌という新大陸に移住する準備だったのかもしれず…
私のような原作者を養成することも、その準備の一環だった可能性も、ないとは言い切れません。
養成しきれないうちに(原作者として全くお役に立てないうちに)、貸本界が消滅してしまったのだったとしたら…
本当に申し訳ないことだった、と思います。
(;_;)
で。ちょっと視点を変えて。
貸本界から人材が流入してくることを、雑誌ですでに活躍中の漫画家はどう受け止めていたのか。
私は、ひとつの例しか知りませんが。
これは是非、書いておきたいと思います!
なんと、殿の証言です。
「ラフレシアは昔、先生(大殿、松本零士)の仕事場に本があって、読んだから知ってる。
先生も読んで参考にしたと思う」
わかりますー?
これ、松本ファンに言っても無視されたり、信じてもらえなかったりなのですが。
当の大殿も、忘れちゃっておられるのですが。
(^o^)
ラフレシアって、『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』に出てくる、植物人間マゾーンの女王ですわよ!
私の原作の、(「月夜」に載った)『ラフレシア』が、時期的にもぴったりなんです。
人類を侵略にくる植物、という設定が、同じでしょう!…って!
池川伸治の『ラフレシア』。私のデビュー作です。
女王ラフレシアとハーロックの対決シーンがyoutubeにありましたので、貼っておきますね。
松本ファンはハーロックを、池川ファンはラフレシアを応援してねっ!
(というか、私ハーロックは大好きなので、負けてあげたい)