実家の母(2年半前に死去)の宝石箱には、ほんとにチープな物しかはいっていませんでした。
私の目にも、金属は真鍮、石はガラス、真珠はフェイク、とすぐにわかって、鑑定してもらう必要もありませんでした。
中の緑の石(たぶんメノウ)が気に入り、さびていた金具を、私は自分で取り換えて、こんなペンダントを作りました。
感心したのは、古いビーズ細工が出てきたこと。
スワロフスキー(高級ガラス)なんかではなく、子供用のビーズです。
孫たち(私の長女と次女。もはや二人ともアラフォー)が生まれて初めて作った作品を、おばあちゃんに捧げた物でした。
母には、これらが本物の宝石以上に大切だったのです。
この事実から類推するに。
他の、見るからに安っぽい指輪やブローチにも、母なりの思い出があったのでしょう。
思春期を軍国少女として過ごし、戦後は180度の宗旨替えをして、民主主義を教える教員として生きた人。
料理やアイロンかけをしながら、軍歌を歌っていた人。
掃除が趣味で、家の内外をツヤツヤピカピカに整えるのが好きだった人。
贈られた品、自力で手に入れた品、いずれにしろ高い装身具は拒否して、自分を飾ることをしなかったのです。
潔く、清く、強い人生だったのだなあ、と今さら彼女の生き方を思いました。

