地植えのノボタンは、一年草のように、冬場には地上部が枯れる…と思い込んでいる方が多いようですね。
実際、そのように解説した園芸書をよく見かけますし…
我が家では、ここ5、6年は地上部を枯らせることなく、翌春には前年の茎から新芽が萌芽して、秋の開花を迎えています。
我が家でも、買って地植えした当初から数年間は、すっかり葉を落とした茎を地際からカットしていました。
でも、せっかく生長した地上部を切り捨てるのに少なからぬ抵抗感がありましたねぇ…
そこである年の晩秋の頃、ダメモトで、大きなポリ袋で株全体をすっぽりと覆って一冬を過ぎた翌春に枯れ枝のような茎から新芽が伸びてきました。
ここでいうノボタンは、開花後に花色が変化する『 リトルエンジェル 』です。
開花後の経過時間の長短で花色が異なる。
ノボタンには、「シコンノボタン」(Tibouchina)と「「ノボタン」(Melastoma)があります。
「リトルエンジェル」は、シコンノボタンの園芸品種。
<シコンノボタンの特性>
・学名: Tibouchina urvilleana
・分類:ノボタン科 シコンノボタン属 ………約180属4400種の大きな科。
・原産:中央~南アメリカ、東南アジア等。
・特徴:半常緑~常緑低木。茎が木質化して太くなる。夏に花芽を形成。
日当たりと適湿を好む。水切れ要注意。5~6月頃に新枝の挿し木で増殖可。枝が折れやすい。
(耐寒性)熱帯花木の中では寒さに強く、3℃以上で越冬可。関東以南では葉を落とすが越冬する。
(樹 高)0.3~3m。
(花 期)8~12月。
<ノボタンの特性>
・分類:ノボタン科 メアストマ属 ………本来は、ノボタンといえばこの種を指す。
・原産:東南アジア。
・特徴:常緑低木。 雄蕊の軸が黄色。
<リトルエンジェルの特性>
開花日(左) と 開花3日目(右)
・学名:Tibouchina uruvilleana cv. Little Angel
・特徴:半耐寒性常緑低木。 シコンノボタンの園芸品種。
秋に、枝先から集散花序を伸ばし、漏斗状で、先端が5烈の花をつける。
花は小型で小輪。 花色が変化する。
咲き始めハツートンカラーで、中央部が白色、花弁中間部から花弁縁が青紫色。開花翌日から徐々に白色部が赤みを帯び始め、次第に花弁全体が薄桃色~濃桃色へと変化する。
雄蕊の軸色も当初の白色から、次第に花びらと同色へと変色する。
※ 越冬準備
・花が咲いた枝先は枯れるのですべてカットする。 ひ弱な細枝は摘除する。
・主茎と主要枝を残す。 やや細めの枝もできれば残す。
・一周り小さく剪定された株全体をポリ袋で覆う。 風対策で、ポリ袋株の縁を数か所茎に洗濯ハサミで止める。
・翌春までそのまま放置。
2017年冬
※ 春に梅が咲くころ
・暖かくなり、降雪の可能性がなくなった頃に、ポリ袋を撤去する。
・葉は、散り落ちることなく緑葉を付けたまた…の年もあれば、ほとんど散り落ちる年もある。
2020年の春は、ほとんどの葉が残ったままで冬を越した。 なお、積雪は2回だった。
・サクラが咲くころになると、太い枝と茎との接点辺りに新芽が伸び始める。
・元気な枝にも新芽が次々と見えてくる。
2020年春:葉っぱも越冬…
↓
黄色〇を拡大すると…
↓
元気いっぱいの萌芽…です。
太茎だけではなく、脇枝からも萌芽…です。
今年も、初冬の庭を華やかに彩ってくれそう…です。
※ 秋に花が咲くころ
・茎や太枝から伸びた新芽から花をつけるので樹姿が大きく、花数も多いので、満開時にはとても豪華。
ノボタンを育てておられるお宅で、毎年、冬季に地上部を摘除されていたなら、今年は地上部を越冬させて見られてはいかがですか。
前回の洋ラン「デンドロビューム」に続き、その続編として、ノボタンの越冬作業手順をご紹介してみました。
他にも無事に越冬している花々もあるので、またご紹介するかもしれません。