こんにちは。
埼玉県災害ボランティア団体ネットワーク「彩の国会議」です。

全5回にわたってお届けしてきた、私たちの新たな助成プログラム「支援体制の整備と被災想定訓練の実施」に関する連載も、今回がいよいよ最終回です。

これまで、14分野の専門支援リソースのデータベース(DB)化、kintoneによるリアルタイム連絡網の構築、リーダーたちのリテラシー向上、そして日本総合研究所(日本総研)監修による高度な被災想定訓練についてお伝えしてきました。

これらすべての活動は、単に「訓練が無事に終わった」という一過性の成果で終わるものではありません。連載の最後を締めくくる第5回は、プロジェクトが地域社会に残す持続可能な財産、「政策提言書」と自治体向けの「ガイドライン(指針)」、そして3月に開催される「成果共有フォーラム(オンライン)」についてご紹介します。

課題を「価値」に変える:日本総研との合同検証

2027年2月に杉戸町で実施される14分野網羅型の指揮訓練「協働型災害訓練」では、多くの成果とともに、あえて「支援の目詰まり」を発生させることで、多くの具体的な課題が浮き彫りになります。

私たちは、2026年12月から2027年3月にかけて、日本総研との合同検証会議を定期的に開催します。訓練で明らかになった「行政のマンパワーや制度だけではカバーしきれない専門支援領域」を客観的に特定するためです。

そして、ここからが私たちの挑戦の真骨頂です。

平時から民間の専門団体がその活動・受援体制を維持し、有事の際に即座に動くことが、地域社会にどれほどの「被害軽減の経済的価値(費用対効果)」をもたらすのかを徹底的に可視化します。

民間支援の価値を感覚的な「善意」として語るのではなく、論理的・定量的なデータとして示すこと。これこそが、災害支援を公的な社会インフラへと引き上げるための強固な土台となります。

成果①:社会システムに組み込むための「政策提言書」

この合同検証の結果をもとに、「政策提言書」の取りまとめを目指したいと思います。

この提言書では、「民間の力を単なる都合の良い無料の労働力として見るのではなく、平時から公的予算を伴って維持管理すべき社会インフラとしてシステムに組み込むべきである」という想いを提示できたらと思います。

「ボランティア・フリーライド(無償依存)」の構造を打破し、持続可能な防災体制を埼玉県、ひいては全国のモデルケースとして発信するための重要な一歩となるはずです。

成果②:自治体と専門団体をむすぶ「標準的な協力体制の指針(ガイドライン)」

もう一つの重要な成果物が、自治体が専門団体と連携する際の『標準的な協力体制の指針(ガイドライン)』の策定です(2027年3月提示予定)。

どれほど素晴らしい理念があっても、自治体の現場窓口や、各NPOの現場レベルで「具体的にどう協働契約を結び、どう動けばいいのか」のルールがなければ、有事の際に迷いが生じます。

このガイドラインでは、単なる善意に頼らない、地域が一丸となって支援機能を維持するための具体的な協力モデル(プロトタイプ)を明文化を目指します。これにより、県内各自治体の防災担当者が迷うことなく民間の14分野専門リソースと手を結び、発災直後から目詰まりのない受援・派遣を行える環境を整えることに繋がればと思います。

総仕上げ:オンライン成果共有フォーラムの開催

2027年3月、私たちは本事業の集大成として「オンライン成果共有フォーラム」を開催を予定しています。

このフォーラムには、県内外の自治体防災担当者、社会福祉協議会、専門支援団体、そして広く地域防災に関心のある関係者の皆様をお招きする予定です。

検証によって導き出された経済的価値、完成したガイドライン、そして本事業を通じて構築された「14分野横断型・リアルタイム連絡網」の実績を広く周知し、単一の地域に留まらない「官民協働の新しいスタンダード」を社会へ共有します。

おわりに:埼玉から、日本の災害支援の未来を変える

5回にわたりお読みいただき、本当にありがとうございました。

私たち「彩の国会議」の挑戦は、始まったばかりです。

「善意」という尊い想いを否定するのではなく、その想いと専門技術が、資金や体制の限界によって途絶えてしまわないように。いかなる属性の被災者であっても、手を差し伸べられる仕組みが、常に社会に用意されているように。

「彩の国会議」は、埼玉県内の14分野の仲間たち、そして一般財団法人日本総合研究所とともに、この「民間危機管理監」体制の確立へ向けて邁進してまいります。

これからの活動の様子や、研修・訓練のレポートも随時発信していきますので、引き続き温かいご支援とご注目をよろしくお願いいたします!