こんにちは。
埼玉県災害ボランティア団体ネットワーク「彩の国会議」です。

前回の記事では、私たちが目指す「ボランティア・フリーライド(無償依存)」からの脱却と、災害支援を公的な社会インフラへと再定義するビジョンについてお伝えしました。

大きなビジョンを掲げるだけでなく、それを現実のものとして機能させるためには、強固な「仕組み」と「人の体制」が不可欠です。そこで第2回となる今回は、本事業の要となるデジタル基盤「14分野専門支援リソースDB(データベース)」、リアルタイムに情報をつなぐ「kintone(キントーン)連絡網」、そしてこれらを動かす拠点となる「埼玉県内のつなぐチーム」について詳しくご紹介します。

課題:災害時の「どこに、誰が、何ができるか分からない」を解消する

災害が発生した直後、被災地には多くの支援の申し出や物資が集まります。しかし、現場では以下のような混乱がしばしば発生します。

  • 「アレルギー対応の食支援ができる団体はどこにいる?」

  • 「外国籍の避難者をサポートできる専門家と連絡が取れない」

  • 「ブルーシートを張れる技術系ボランティアに、今すぐ入ってほしいが連絡先が分からない」

これらはすべて、民間の素晴らしい専門リソースが「可視化されていないこと」が原因で起こる支援の目詰まりです。せっかくの高度な専門知識や技術があっても、必要な場所に、必要なタイミングで届かなければ意味がありません。

そこで私たちは、平時のうちから埼玉県内にある専門支援の力を徹底的に見える化し、つなぐためのデジタル変革(災害DX)に着手します。

仕組み①:埼玉県内「14分野」専門支援リソースDBとガイドブックの制作

まず取り組むのが、県内で活動する災害ボランティア団体や地縁組織、専門支援NPOを対象とした大規模なリソース調査です(2026年7月〜12月実施予定)。

対象となるのは、単に「防災」を掲げる団体だけではありません。JVOADが策定した被災者支援コーディネーション ガイドラインを参考にして「14の専門分野」を網羅します。

対象となる14分野の例:

食(炊き出し・アレルギー対応)、子育て・要配慮者支援、家屋保全(技術系支援)、ペット、外国人支援 など

これらの団体が持つ「活動実績」「保有する機材」「派遣可能な専門スタッフの数」などの詳細な情報を「資源シート」としてデジタル化し、一つのデータベース(DB)に集約することを目指します。

さらに、このDBをもとに自治体の防災担当者や社協(社会福祉協議会)が平時から手元において活用できる『ガイドブック』の制作も視野に入れたいと思います。これにより、災害時に「どの団体に、何を要請すればいいのか」が瞬時に判断できるようになると思います。

仕組み②:14分野横断型・リアルタイム連絡網(kintone)の構築

データベースで情報を可視化するだけでなく、発災時に「今、何が起きているか」「どこで何が足りないか」をリアルタイムに共有し合うためのシステムも導入します。それが、業務改善プラットフォームとして実績のある「kintone(キントーン)」を活用した連絡網です(2026年7月〜12月整備予定)。

従来の電話やメール、個別のSNSツールでのやり取りでは、情報の聞き違いや、特定の組織内だけで情報が止まってしまう「タコツボ化」が避けられませんでした。

kintoneを導入することで、14分野の主要団体(約50団体以上を想定)が、一つの共通プラットフォーム上で横断的かつリアルタイムにタイムライン形式で情報を共有できるようになります。「食の支援チームが動いたから、次は子育て支援チームがバトンを受け取る」といった、流動的でスムーズな連携体制をオンライン上に構築できるよう努力したいと思います。

体制:埼玉県内に設置される「5名体制のつなぐチーム」

どれほど優れたデジタルシステムがあっても、それを運用し、現場の泥臭い調整を行う「人」がいなければ宝の持ち腐れになってしまいます。

そこで本事業では、連絡調整のメイン事務所を埼玉県内に設置します(2026年9月〜2027年3月整備予定)。ここが、埼玉県内広域をカバーする機動的な事務局、すなわち「民間危機管理監」の心臓部となります。

この事務所には、専任コーディネーターおよび専門スタッフ計5名程度による「つなぐチーム」を組成。

平時は、先ほどご紹介した14分野のリソース調査やkintoneの管理、受援・派遣計画の策定を担い、災害時には、システムに集まってくる被災地のニーズと、DBに登録された専門支援リソースをマッチングして的確に現場へ差配する「司令塔」として機能します。

「データ」と「人」がつながる、新しい防災へ

このように、本プロジェクトは「14分野のDB(知恵の集約)」×「kintone(スピード感のある連絡網)」×「県内のつなぐチーム(確かな人の体制)」の3つを掛け合わせることで、ボランティアの善意を確実なシステムへと昇華させていきます。

これによって、どのような属性の被災者であっても、取り残されることなく迅速に専門支援が届く一歩が踏み出されることと思います。

しかし、このシステムを本番さながらに動かすためには、リーダーたちの育成と、システムが本物かどうかを試す「過酷な訓練」が必要です。

次回のブログでは、このデジタル基盤を使いこなす地域防災の要を育てる「専門分野別リーダーズ研修」について詳しくご紹介します。どうぞお楽しみに!

  • 次回予告:【第3回】地域防災の要を育てる「専門分野別リーダーズ研修」が始動!(近日公開予定)