護送船団方式で「日の丸株式会社」が日本経済の発展の原動力となってきた時代があった。
日本一国が「世界の工場」の役割を果たし、大量生産大量消費の時代は、それでうまくいっていた。
従って、天下りの問題も「必要悪」として一種の潤滑剤の役割を果たしていた時代は大目に見られてきた。
しかし今や、「世界の工場」としての役割は、中国に移り、更にASEANやインド、アフリカにもシフトしようとしている。
日本の生き残り戦略としては、当然より高度な技術とアイデア、不断のイノベーションとグローバル化に対応せざる負えなくなってきている。
新しい時代に対応するためには、日本の労働環境も大きく変える必要があり、幾つかの課題がある。賃金格差の問題と労働形態の問題である。
労働者派遣基本法が制定されて、貧富の差が広がり、社会問題化してきている。
思うに、派遣が弱者であり、敗者の様なイメージで捉えられ法整備が進められようとしていることに問題があるように思う。
先にも述べた如く、派遣法が現れてきた背景には、時代の要請がある。
高度成長時代の日本の発展パターン、ビジネスモデルはもはや幻想となりつつある。
終身雇用で、同じ仕事を何十年も繰り返す社員を抱えることが企業にとっても重荷になりつつあるのだ。
一時的に雇える人材を持てるようにしなければ、大企業とて経営が難しい時代になって来ている。
基本的に派遣は、正社員よりも不利な条件で同じような仕事をしている場合、正社員以上に賃金を支給されてもおかしくないはずと考えられる。
社会が多様化し、短期間でブームが過ぎ去り、企業が必要とする人材が変化していく速度が速まっている。
人間の個性、技能、能力は尊重しながらも、同じ人材では新しいプロジェクトに対応できないと言うことは、ままあることだ。
しかし思うに、この企業と人材のマッチングがうまくいっていない。
多くの業界で第5次下請けぐらいまであることが多いが、実はこれを減らせられれば派遣の仕事はそれ程低賃金にならなくとも企業も派遣もやっていいける。
この原因は幾つか考えられるが、大きな原因の一つが天下り企業の存在だ。
この天下り企業の発見と根絶が出来れば、賃金格差の問題は相当解決される。
よって、派遣基本法によって賃金格差の問題が起こっているのではなく、より根本的には天下りによる搾取に大きな問題があるという認識が必要だと思う。
これを是正することで、巨大独占を廃絶でき、新しい社会建設の抵抗勢力を排除することも出来る。
もう一つは、労働形態の問題がある。
在宅勤務という労働形態がある。
インターネットが普及し、自宅でもセキュリティをちゃんとすれば職場と同じ仕事が出来る様になる。
本格稼働までにはしばらく時間がかかるかも知れないが、先進的な企業では、徐々に試験運用を始めている。
在宅勤務が本格稼働するようになれば、都会の通勤ラッシュも緩和され時間とエネルギー効率は格段に良くなる。自宅で赤ちゃんの世話をしながら仕事も可能となり、介護も空いている時にすませることも可能になる。自然とふれあいながら暮らすことも可能となり、地方でも産業が活性化し、それなりに魅力も取り戻せるだろう。
産業革命後都市化が進行し、現代に至っているわけだが、IT革命故に可能となった勤務形態だ。
しかしこの本格運用は遅々として進まない。
全国に十分な高速通信網が広がっていないためだ。
詳細は省くが、これも結局は天下りの問題がある。
明確な国家ビジョンを掲げて大胆に実行するものが現れれば、日本の覚醒は始まると考えるが、動き出すのは絶望的なほど先の話にも思える。

