バングラデシュ 支援することとは 改善していくこととは | 認定NPO法人 Future Code

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国際医療支援団体である私たちは「世界中の医療に、未来への鍵を」をコンセプトに、医療問題をベースとして教育、公衆衛生など様々な世界の問題に対し、日本人として何ができるのかを考え、その土地の人・文化を知り、平和構築を行う支援活動を続けています。

「バングラデシュの医療の現状を本気で変えたいのです。」

これは軍病院の視察を行った際にICUの担当医師から聴いた言葉です。

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バングラデシュでは、建国から40年ほどが経ち、現在の急速な経済発展の中、首都ダカの一部の病院では、日本の大都市の中核病院のような規模での高度な医療器材や施設の整備が進んでいます。

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しかしながら教育の発展は経済とは異なり、急速に変わるものではなく、基本的な看護技術や衛生観念は看護師はじめ、未だに医療スタッフに浸透していないという現実もあります。

これはただ教育が不足している、ということだけでなく、この衛生観念の欠如は普段からのバングラデシュの生活や、今までの文化によって長年医療現場でなされてきたものであり、決して一度だけの講義などで変わるものではありません。そして医療器材がどれだけ充実しても、使う側の基礎知識、技術の発展なくして医療は成り立ちません。

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この病院の数人のバングラデシュ人医師はこの点に非常に問題意識を持っており、この3月から新病棟がオープンすることに合わせて、この衛生観念はじめ、スタッフの意識を根底から変えたいのだ、と訴えます。
その反面、多くのスタッフは例え不衛生な環境であっても、昔からそうだから、という理由で問題意識を持たない事も多いのです。
この問題を改善したいとする医師たちは、スタッフの教育や衛生観念の改善に取り組んできましたが、問題意識を持たないスタッフたちからは、残念ながら「あの人はとにかく厳しくて、変わっている人だから」と呼ばれるだけで終わってしまうことも多い、と言います。

私たちの活動は、現地の問題を改善したいと真剣に取り組もうとするバングラデシュ人である彼らの意志をどれだけサポートできるかに尽きるとも思います。


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また、たとえ完璧なものでなく不完全な改善の案であったとしても、私たちが彼らに日本での「正しいこと」を押し付けるのではなく、彼らの改善したいという目標と、その改善の方法の発想を取り入れ、彼らの望む知識・技術をできるだけ提供し、彼ら自身で考えた方法を一歩ずつ進めていく。その手助けを私たちができることをする。
このようなプロセスは、たとえ時間がかかっても、大切にすべきことに感じるのです。

もちろん時と場合にもよりますが、つまり彼らの方法が間違っている、これを直すべき、と指摘して、私たちの感覚で全て正していくことは、あえて必要ではないことに思うのです。
私たちはじっくりと腰をすえ年月をかけてもサポートし続け、ひとつずつ彼ら自身が自らの手で改善していくことで、彼らの中からももっとよりよい仕事をしようとするリーダーとなる人材が出てくれば。そしていつか私たちのプロジェクト自体を現地の彼らの手に戻すこと。
そういった方向性こそが介入者として支援する我々にも望まれることなのではないでしょうか。


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この病院のスタッフたちは、2年毎に全国の軍病院に派遣されていきます。このセンターの病院でしっかりした彼ら自身が望んだ教育を展開することで、このひとつの病院だけでなく、もっと大きな広がりを見せる可能性もあるでしょう。
我々もまた、真剣に医療をよりよいものにしたいと取り組む彼らの手助けをし、これからも現場に貢献できればと思います。


                               代表 医師 大類