祈りと願い バングラデシュを想う | 国際支援団体•認定NPO法人 Future Code

国際支援団体•認定NPO法人 Future Code

国際医療支援団体であり、医療の届かない場所に医療を届ける活動を基本として教育、貧困、公衆衛生など様々な途上国の問題に対し、日本人として何ができるのかを考え、行動を続けています。支援事業は農業/食糧支援、ソーシャルビジネスによる雇用創出等、多岐にわたります。

まさに恐れていたことが起こった。
先日のバングラデシュでのテロ事件のことだ。

まずは犠牲者に祈りをささげたい。

この件では、無念さと、怒りと、なんとも表現しにくい重い心痛な感情が入り混じる。
ご遺族の心境を思えば、筆舌に尽くしがたい。

おそらく業界の関係者一同、同じような気持ちだろう。


しかしながら、上記を踏まえた上で、バングラデシュという国について申し上げておきたいことがある。

これは宗教戦争ではなく、イスラームの人々は多くは寛容で平和を望む善良な人々であることだ。これはイスラームという宗教の問題ととらえるべきではないことだ。
過激派の思想はそもそものイスラームの寛容の概念から大きく外れている。暴力に訴えることを良しとする国や宗教は存在しない。
そしてそもそもプロジェクトが進むことで恩恵を受けるであろう人々、またはプロジェクトが中止されることで被害を受ける人々は、まったくと言い切れるほどテロとは関係がないのだ。

我々もバングラデシュで看護師育成や孤児院診療などの活動をしてきたが、ベンガル人の多くはとても人の好い、そして機会さえあれば、自分たちを前に進める努力ができる人たちだと感じてきた。共に活動することで生まれる一体感を我々のスタッフは皆、感じてきた。







確かに、このような事件が起きる以上、国際協力という世界で生きるには、それなりの覚悟は必要なのだとも思う。
このような事件は、残念ながら「危機管理の徹底」というような言葉で片付けられるようなものではなく、人の自由を保障する世界であるからこそ、防ぎきれないことがある。
残念ながらいくら「危機管理の徹底」を追い求めたとしても、それは「絶対の安全」を意味するわけではないからだ。

今回の事件でも、邦人がターゲットの一つにされるという情報は昨年からあり、事件も続いていた。当然それを踏まえた安全管理は日本政府や大使館、JICAも徹底しており、我々NGOももちろん警戒していたことであった。


この国際協力の世界で生きる中では、何もこちらが犠牲ばかりを払わなければならないわけではなく、その現場でしか得ることのできない、それぞれの人生にとってかけがえのない経験を与えられることもある。日本を嫌いな国が少ないことも、少なからず先人たちがこのような国際協力を通じて日本人としての信頼を得てきたからだろう。
そして今の世界は、経済や食料問題だけとってみても、一つの国に閉じこもり、自分たちだけで生きていくことはできない。
一見遠い国の問題に見えても、すべては相互作用している。

そして途上国の現実に触れる機会を捕らえ、人が人を助けながら、助け合っていくような仕事、つまり国際協力にやりがいを感じ、生きていく人間がいることは、'危険な国にわざわざ無意味なことをしに行く異常な人間'ではなく、'とても人間らしい人間'だと思う。

この事件を受けて、日本の国際協力は、残念ながら少なくともバングラデシュへの国際協力は衰退する可能性は大きい。
しかし、日本を代表してバングラデシュへの貢献を行ってきた犠牲者らの意志を誇りに思い、日本人として出来ることを続けていくこともまた道ではないだろうか。
彼らの意志を思えば、我々はこのような暴力に屈するわけにはいかない。

文化や宗教が混じり合う中で助け合っていく姿こそ、現代の平和を見出すことができる。

そう信じている。